みなさんは「越境EC」という言葉をご存じでしょうか?
越境ECとは、インターネットを通じて海外の消費者に日本の商品を販売するビジネスのことです。
新型コロナ禍では訪日観光客が激減し、インバウンド消費も落ち込みました。しかしその一方で、越境EC市場は急速に拡大。いまや日本の高品質な商品を求める海外消費者が、オンラインを通じて積極的に購入しています。
では、日本企業が越境ECを活用することで、どのようなメリットがあるのでしょうか?また、注意すべき点や人気の商品カテゴリーは何でしょうか?この記事では、2025年時点の越境EC市場の状況を踏まえて整理しました。
目次
越境ECの基礎知識
越境ECの基礎知識
越境ECとは、日本で製造された商品や日本ブランドの商品を、ECサイトを通じて海外の消費者が購入できる仕組みです。
代表例は「Amazon」。アメリカの企業が製造した商品を日本から簡単に購入できるのと同じように、日本の商品も海外で購入されています。
経済産業省の調査によると、2019年時点で世界の越境EC市場は7,800億ドル(約85兆円)。2026年には4兆8,200億ドル(約530兆円)規模に成長すると予測されています。スマートフォンの普及や物流網の発展により、今後も拡大は続くと見込まれます。
現在、日本企業は特に 中国やアメリカ向けの出店 を中心に成長を遂げています。
日本企業が越境ECを利用するメリット
次に、日本企業が越境ECを利用するメリットについてご紹介していきます。
日本企業が越境ECを利用するべきポイントなどを詳しくご紹介していきますので、越境ECの利用を検討しているという方はぜひチェックしてみてください。
『MADE IN JAPAN』はとにかく人気
「MADE IN JAPAN」は圧倒的な信頼
日本製品は「高品質・安心・安全」として世界的に評価されています。正規販売元から直接購入できる越境ECは、海外消費者にとっても安心感があります。
迅速な対応力
日本企業は「注文から発送までが早い」と高く評価されています。例えば、中国の京東商城ではヤマトグループと提携し、最短4日で配送可能です。
低コストで海外進出
実店舗を構える場合は土地代や工事費用がかかりますが、越境ECなら出店コストを大幅に抑えることができます。小規模から始めやすいのも魅力です。
実店舗の売上にも波及
越境ECで認知度を高めた商品は、訪日観光客が来日した際に「実際の店舗で購入」につながるケースも増えています。
注文〜発送が早いと好評
日本企業が越境ECを利用するメリットとして、日本企業は注文から発送が早いと海外では好評だという点が挙げられます。
例えば、中国の京東商城というECサイトは、日本のヤマトグループと提携をしており、注文〜発送までを最短4日で完了させることが可能です。
日本企業の『勤勉さ』という面も越境ECで日本企業の商品が人気な理由となっています。
初期費用が少ない
日本企業が越境ECを利用するメリットとして、初期費用が少なく済むという点が挙げられます。
これは、日本が出店する場合だけに限った話ではありませんが、海外に店舗を出店する場合、土地代や内装の工事費用などがかかります。
それに比べて越境ECは、土地代や工事費などは一切かからず、人件費も最小限に抑えることができるため、海外出店を検討しているが、初期費用はなるべく抑えたい、と考えている日本企業の方が越境ECがおすすめです。
越境ECではなく、店舗の売上UPも見込める
日本企業が越境ECを利用するメリットとして、越境ECだけではなく、店舗の売上UPも見込めるという点が挙げられます。
新型コロナウイルスの影響で、外国人観光客が来日する機会というのは減っていますが、越境ECで日本の企業の商品を知り、クチコミが広がることにより実際に来日した際に店舗で商品を購入するといった流れが考えられます。
そのため、実際の店舗の売上を上げたいと考えている方にとっても、越境ECはおすすめのサービスだと言えます。
日本企業が越境ECを利用する際の注意点
上記では、日本企業が越境ECを利用する際のメリットについてご紹介しましたが、実はいくつか注意しておかなければならない点も存在しています。
日本企業が越境ECを利用する際の注意点についてご紹介していきますので、ぜひチェックしてみてください。
ターゲットを明確化する必要がある
日本企業が越境ECを利用する際の注意点として、ターゲットを明確化する必要があるという点が挙げられます。
これはどういうことかというと『日本で売れているからといって海外でも同じように売れるわけではない』ということです。
ターゲットとなる国や地域、さらには年齢層や生活水準など、顧客のニーズに合わせた商品でないと買ってもらうことは相当難しいでしょう。
いくら日本の高品質な商品でも、値段が高すぎた場合一定の顧客層には手が出せず、思ったような売上が出せないということも考えられるため、越境ECを利用する際はターゲットを明確化する必要があるので注意しましょう。
関税が発生する
日本企業が越境ECを利用する際の注意点として、関税が発生するという点が挙げられます。越境ECは、国内のECとは異なり関税が発生します。出店する国によって関税の取り扱いは異なり、もちろん金額も異なります。
商品の値段や品質に満足してもらったとしても、「関税が高すぎて買わない」ということも十分考えられるため、出店する国の関税については事前に調べておくことが必要です。
輸出コストがかかる
日本企業が越境ECを利用する際の注意点として、輸出のコストがかかるという点が挙げられます。日本から海外へ向けて商品を発送することになるため、当然ながら輸出のコストがかかってしまいます。
上記の関税がかかるという点同様に、輸出のコストも考慮した価格設定が必要となるため注意をしておきましょう。
言語が異なるためサポートが難しい
日本企業が越境ECを利用する注意点として、言語が異なるためサポートが難しいという点が挙げられます。海外へ向けた商品の販売になるため、当然日本語ではなく出店先の言語で商品の名前や説明を記載する必要があります。
それだけならまだしも『問い合わせ』にも対応する必要があります。その国の言語を話せる人材を雇い、サポート担当として働いてもらうなどの必要があるため、注意が必要です。
越境ECで人気のある日本企業の商品
最後に、越境ECで人気のある日本の商品をご紹介していきます。これから越境ECを利用した海外出店を検討しているという方は、ぜひチェックしてみてください。
おもちゃ・ゲーム
越境ECで人気のある日本の商品として、おもちゃやゲームが挙げられます。
任天堂をはじめとした、世界に誇る日本のゲームやおもちゃなどが海外からは好まれています。
また、中国では子育て用品がよく売れる傾向にあり「日本の安全なおもちゃを使わせたい」という理由から、おもちゃ類もよく売れています。
ファッション
越境ECで人気のある日本の商品として、ファッションが挙げられます。
日本製の衣類はどれも品質が良く、それでいて比較的安い値段で手に入れられることから、外国人から高い人気を得ています。
日本が誇る『ユニクロ』の肌着や下着は、年齢を問わず幅広い世代から人気を集めています。
アクセサリー
越境ECで人気のある日本の商品としてアクセサリー類が挙げられます。
日本の商品の海外でのイメージとして多いのが『偽物が少ない』という点です。
日本の企業が製造したものを直接日本のお店から購入することができるのが越境ECのメリットです。
電化製品
越境ECで人気のある日本の商品として、電化製品が挙げられます。日本には、世界に誇る電化製品の企業がたくさん存在しています。
有名な話ですと、来日観光客はみなさん日本製の温水洗浄便座を持ち帰るという話があります。現在は来日できない海外に住む人たちが、越境ECを利用して日本の温水洗浄便座などをよく購入しているようです。
自動車
越境ECで人気のある商品として、自動車が挙げられます。
日本企業が製造している新車の自動車はもちろん、日本企業が整備している中古車もまた、海外では大人気となっています。ランドクルーザーなどのSUVが高く売れるのは、こうして海外での需要が高いからだと言えるでしょう。
まとめ
越境ECとはなにか、日本企業が越境ECを利用する際のメリットや注意点、日本のどのような商品が海外では人気なのかなどについて詳しくご紹介しましたが、参考になりましたか?
日本企業が製造している商品はもちろん、日本人の対応なども含めて海外の方からの評価はとても高いです。
『高品質』『安心』『安全』『優しい』といった日本の特徴をもっと活かすためにも、越境ECを利用してみてはいかがでしょうか。
これから越境ECの利用を検討しているという方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。