海外進出した三越伊勢丹のその後は?今後の越境ECの展望

Online shopping

近年ではデジタル化の促進や感染症の影響も相まって、オンラインショッピングが頻繁に使用されるようになってきました。その影響でオンラインショッピングの需要も増加し、越境ECの利用者も増えてきました。

そこで今回は、そんな越境ECに焦点を当て、最近越境ECへの進出を図った三越伊勢丹に関する情報を紹介したあと、これからの越境ECの展望について詳しく説明していきます。

三越伊勢丹の海外進出

Young woman with shopping bags using phone at decorated stores and shopping mall

三越伊勢丹の海外進出について詳しく見ていきましょう。

2016年の海外進出

2016年の11月下旬、三越伊勢丹ホールディングス傘下の三越伊勢丹は、中国のアリババグループが運営している越境ECサイト「天猫国際(Tmall Global)」に出店を果たしました。

天猫国際(Tmall Global)には、有名どころでいうとマツモトキヨシやサンドラッグ、イオンリテールなどの店舗が出店していますが、日本の百貨店として天猫国際(Tmall Global)に出店したのは三越伊勢丹が初めてです。

天猫国際(Tmall Global)に出店している日本の企業は、基本的には日用品を軸として商品の売買取引を行っているところが多いため、三越伊勢丹では、企業独自の商品を中心に、ファッション衣料、雑貨や化粧品などの商品を販売して、他社との差別化を図っています。

ちなみに、三越伊勢丹グループの店舗による免税売上高のうち、およそ70%が日本に訪れた中国在住の観光客が占めています。

天猫国際(Tmall Global)への出店によって、中国の顧客との関係をさらに深めていく方針です。

また、三越伊勢丹が中国に保有している店舗や国内に存在する店舗との連携も目指しているということです。

三越伊勢丹は、2018年9月21日に、京東集団と東京都内で調印式を行いました。

結んだ契約は、「戦略的業務提携」です。

三越伊勢丹は、京東集団が展開している中国越境ECサイト「京東全球講(ジンドンゼンキュウコウ)」に、「三越伊勢丹海外官方旗艦店(ミツコシイセタンカイガイカンポウキカンテン)」と呼ばれる三越伊勢丹の旗艦店である店をオープンすることを発表しました。

三越伊勢丹グループ店舗では、海外からの消費者が数多く来店しています。前述した通り、海外消費者のうちおよそ70%は日本を訪れた中国人観光客です。

すでに三越伊勢丹グループは中国のグループ店舗において、越境ECで販売している商品を体験できる「ポップアップショップ」などを運用しています。

日本のみならず、中国にも店舗があるという強みを活かし、より広範なビジネス展開を行っています。

三越伊勢丹グループは、テンセントグループの参加である京東集団との連携を図ることで、テンセントグループが運営しているWeChatの連携も同時に展開する予定であり、今後日本と中国の店舗におけるO2Oの活動をさらに強化していく方針です。

また、京東集団は、中国のトレンドとなっている化粧品においても、AR・VRを使用したバーチャル空間における近未来的なメイクアップの商品販売を展開しています。

中国在住の消費者が安心してショッピングをすることができる環境が準備されているため、これからさらに売り上げの伸びが期待できるメイクアップ関連商品に対しても、展開がしやすいという考えのもと出店に踏み込んだということです。

三越伊勢丹海外官報旗艦店においては、化粧品や紳士向けの化粧品、ヘア・ボディケア用品、リビング用品や食品、マタニティ商品、そして日本に存在する地方自治体と協力して開発した独自の商品の展開などを含み、およそ50以上のブランド、そして500以上の商品販売を促進していく方針です。

これからの越境ECについて

Online shopping concept.

ここでは、今後の越境ECの展望について解説していきます。

主に以下の項目に焦点を当てて説明します。

  • 海外進出をする企業
  • 新規展開で人気な地域
  • 東南アジア市場の魅力
  • 東南アジア市場の課題
  • 中国向け越境ECについて

それでは、以下から一つ一つ見ていきましょう。

海外進出をする企業

2020年度の独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)の調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により生活スタイルに大きな変化が出たことから、既に進出している海外の事業をより一層拡大しようとする企業が、2019年と比較しても大幅に減少しています。

その一方で、新規で海外に向けたビジネスを展開したいと検討している企業は2019年と比べても微減に止まり、国内における経済の打撃をなんとかするべく海外進出に二の足を踏んでいるようです。

リスクの分散を考慮して定まった市場への偏りを回避したいと考えている企業や、新しいビジネス展開を期待している企業からすると、海外進出は有効的な手段となり得ます。

また、既に海外に向けた事業を拡大している国・地域で注目を浴びているのは、やはり中国やアメリカです。

事業拡大に適した相応の環境が整っていますし、現地の需要に関連した情報も比較的数多く存在するため、企業にとっても海外進出がしやすい国となっているようです。

新規展開で人気な地域

ビジネスを新規展開していくうえで人気を集めているのが、東南アジアです。

既に法人として現地に拠点を保有しているケースや、現地のディストリビューターとの商取引が行われているケースも存在します。

しかし、中国・アメリカなどの親密な国と比較すると情報が少ないことがありますので、情報収集とビジネスの新規展開を同時進行で行っている企業が多いです。

また、さまざまな経済レポートでの国や地域の商品需要を考慮すると、中国や東南アジアではパーソナルケア用品や日用品、メイキャップ製品、衣料品など、現地で人気のある商品のニーズが高いようです。

上記の商品は温度管理などもそれほど難しくない種類のものであるため、海外に向けたECビジネスが初めてだとしても、比較的挑戦しやすい商品になっています。

特に感染症の影響で国境を越えるのが厳しい現状下、日本にいながらも商品販売の環境を整えることができる越境ECにすでに着手している企業も多く存在しています。

東南アジア市場の魅力

東南アジアの地域は人口の増加やスマートフォンの利用率も高まり、インターネットのインフラ整備も着実に進んでいます。

東南アジアの中でも特に期待が高まっているのがインドネシアやシンガポール、マレーシアであり、ECとの親和性も非常に高い地域となっています。

2019年頃から越境ECのサービスが開始され、現地の販売環境も整っていることや日本製品の注目度などを鑑みると、東南アジアは越境ECの対象として魅力的です。

主な越境ECのプラットフォーマーとしてはアリババグループ傘下で、シンガポールに拠点を置いている「LAZADA」や、同拠点にあるSeaグループ傘下の「Shopee」などがあり、これからもさらに活発化していくと予測されています。

東南アジア市場の課題

EC市場が急成長中の東南アジアですが、中国の越境EC市場と比較すると、さまざまな文化が国や地域によって存在するため、ターゲティングや需要の把握が難しいです。

中国ほど越境ECの優遇制度が整備されていない、そもそも市場規模がそれほど大きくない、日本から東南アジア諸国では距離的に輸送日数がかかってしまうため商品が注文されにくいなど、まだまだ課題も多く存在します。

それぞれの国や地域にある特色を活かした商品の販売をしていく必要があります。

例えばインドネシアではスマートフォンを利用したEC購入率が右肩上がりであることや、シンガポールはWebにおいて情報収集が行われるもののオフラインでの購入率がいまだに高いままであるなど、国や地域ごとに見られる特徴を把握するとよいでしょう。

東南アジアの地域においては、より色濃くローカライズされた情報の発信や商品の魅力を伝えていく販売活動が必要となるため、SNSと連携した施策を取っていくのが最も有効的だといえます。

中国向け越境ECについて

非常に多くの企業がビジネス発展の場として利用しているのが、中国に向けた越境ECです。

2020年は春の季節に新型コロナウイルスが拡大してしまった影響で、中国国内では1年間を通じて消費購買行動の勢いが徐々に弱まっていき、経済的にも厳しい現状です。

そのため、ECプラットフォーム各社においては、「KOL(Key Opinion Leader)」や「KOC(Key Opinion Consumer)」に見られるように、注目を浴びているインフルエンサーを登用したライブコマースや販売イベントの拡充、毎年11月11日に行われている「独身の日」のセール期間延長を図ったりと、流通総額の増加を目指してさまざまな工夫が成されています。

越境ECに呼応したECプラットフォームについては、アリババグループの運営する「天猫国際」がやはり人気です。

越境ECのプラットフォーマーである「考拉海購」を運営しているKaolaが組織化したことにより、2つのプラットフォームを合わせて、中国における越境EC市場の5割を超えるシェア率を誇ることになりました。

まとめ

今回は、近年越境ECへの進出を図った三越伊勢丹に関する情報を紹介したあと、これからの越境ECの展望について詳しく説明していきましたが、いかがでしたでしょうか。

働き方や人との接し方など、今までの生活スタイル・価値観などが大きく変わった現代ですが、「ステイホーム」の影響もあり、特に国内のECや越境ECに対する取り組みをより強化しています。

これまで越境ECに関心がなかった方や企業も、テストマーケティングのつもりで始めてみるのもよいかもしれません。

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