越境ECというのは、海外に向けたオンラインショッピングのことを指します。越境は国境を越えるという意味があり、ECというのは、“electronic commerce”の略称です。
つまり、インターネット上で商品・サービス等の購買や売却が海外で行われることになります。
近年は日本の文化が世界的に人気なため、海外にもジャパニーズ・カルチャーに対する熱狂的なファンも増えてきました。
そのような方々が日本まで足を運び、秋葉原などに来て商品を購入する海外の観光客も珍しくありません。
秋葉原にあるようなものと同じ商品を海外で取り扱うとなった場合、現地に店舗を設置するための出店費や営業に伴う人件費など商品を売る過程に膨大な時間と手間がかかってしまいます。
しかし、インターネットのインフラが整備されたことにより、欧米やアジア諸国など全世界に対して商品を販売することができるようになり、越境ECへの需要はさらに高まってきたのです。
目次
越境ECに関する統計
ここでは、越境ECに関係する統計について説明していこうと思います。
経済産業省によると、2014年に中国人が越境ECを使用して日本の商品を購入した合計金額は6,064億円になったといいます。対して、中国人のインバウンドによる日本市場での売上合計金額は4,020億円となっており、数値的に見ても越境ECを通じた売上の方が高いことがわかります。
さらに最近では、新興国でもインターネットが使われるようになり、急速な普及が見られるようになってきました。国連機関の国際電気通信連合(通称ITU)によると、2016年の世界におけるインターネット普及率は47%にまで昇りました。経済発展途上国でもインターネットのインフラが整備されるようになってきたので、今後もインターネットのさらなる成長が望めると期待できます。
人口が多くIT企業も発展している中国では、インターネット利用者の合計はおよそ6.5億人だと言われています。これは国際連合に加盟しているEU諸国の総人口とほとんど等しい数値となっており、非常に多くの人々が利用していることがわかりますよね。
また、2015年時点での市場規模はおよそ191兆円となっていましたが、3年後の2018年時点では298兆円にまで達する見込みで、年率16%と非常に高い数値を打ち出しています。2015年の日本のEC市場規模は9.5兆円程度、2018年が12.7%となっていますので、世界の国々では日本のおよそ20倍の市場規模が展開されています。
そんな大市場である海外の顧客を獲得できるのが、「越境EC」なのです。
インバウンドECとは
ここでは、同じECである「インバウンドEC」について解説していきます
そもそもインバウンドというのは、外国人観光客が日本へ足を運び、日本で売られている商品・サービスを購入することを指します。
インバウンドECというのは、日本国内に限定して商圏を展開したECサイトとなっており、かつてはこのインバウンドECによって数多くのサービスが提供されていました。
その集客方法としては、SEO対策によって自分のサイトが検索されやすい状態にしたり、メールマガジンで宣伝を行うなどが挙げられます。しかし、そのような広告は競合的特性を持ち合わせているため、市場の激化が発生しやすくなってしまいます。
そのため、市場に出店している人々は利益を削ぎ落としてでも値下げを行い、売上を上昇させていくような手法を取っていました。そんな状況の中、少しでも利益を上げるため、市場規模を人口減少中の日本国内のみに絞らず、海外の顧客にも頼り利益を得る必要性が出てきたのです。
インバウンドによる売上が増え、日本製商品の魅力が伝わることで旅行をした後もリピート購入の期待が高まり、購入ルートとして存在する越境ECを通じた商品の売上も上向きになるでしょう。
越境ECには2種類ある!
越境ECサイトは以下のように2種類に分けられます。
- 自社EC型
- ECモール型
上記2種類にそれぞれどのような特徴があるのか、以下から詳しく見ていきましょう。
自社EC型について
ここでは、自社EC型について解説していきます。
自社ECとは
自社EC型においては、自分の会社が独自のECサイトを構築し運営していく仕組みとなっています。インターネット上で独自の独立した自社ドメインを手に入れ、それをベースに運営していきます。
ちなみに、ドメインというのはインターネット上での住所という認識で、さまざまなWEBサイトを区別するものとして理解されています。後ほど詳しく説明していきますが、「ECモール型」は名前から予想できる通り、ショッピングモールのような場所に複数のサイトが存在しているイメージですが、「自社EC型」は自分の会社で独立してサイトを管理することになります。
かつては、自分の会社でECサイトを運営していくにあたり、何もないところからゼロスタートで始まり、専門的な技術によりシステムを構築していく手法がメインでした。これを「フルスクラッチ」といいます。フルスクラッチには相当なコストがかかり、負担が大きいものです。
しかし、ITやネットワークが年々発展し、技術発達が目指せるようになった近代では、初心者でも利用できる自社ECの構築や運営サービスが複数出現してきました。
そのため、専門的な知識が不要になり、資金繰りが不安定な個人事業主や一般企業でも、ECサイトを比較的容易に利用できるようになってきました。
自社EC型のメリットとデメリット
ここでは、自社EC型のメリットとデメリットについて簡単に解説していきます。メリットとしては、自社サイトのシステムを会社独自で設定できること、またデザインも自由に構築することができる点です。
自社EC型では、サイトの運営も手軽にでき、ブランディングの観点からも比較的容易にサイトの管理ができます。ただし、自社サイトのSEO対策が不十分な場合は集客することへのリスクが起きやすくなったり、能動的な取り組みが必要な宣伝のコストを考えると、負担も大きいといえます。
決済システムの観点からも、後述するECモーリー型のような既存の決済法を利用するのではなく、自社独自のシステムを導入することになるため、やはり手間がかかります。
越境ECは世界的なオンライン市場であるため、世界各国から見て利用しやすいと思われるような決済システムを考え、構築する必要があります。
ECモール型について
ここでは、「ECモール型」について説明していきます。
ECモール型とは
ECモール型とは、自社EC型とは異なり、複数の店舗が一箇所に集まるショッピングモールのようなECサイトのことをいいます。オンライン上のデパートというイメージを持っていただければわかりやすいと思います。それぞれのEC事業者は、ECモールのスペースを借りて使わせてもらい、自社のECページを運営していくことになります。
また、ECモール型には2種類あり、一つは「マーケットプレイス型」で、もう一つは「テナント型」となっています。
マーケットプレイス型とは、有名ECサイトである「Amazon」のように、複数の会社が出品して購買行為をする形を示します。商品のデータ自体はモール運営者がコントロールし、注文が入り次第、出品者に対して売れた商品のデータと購入した人の情報を送信します。発送作業を行うのはモール運営者側ではなく出品者側です。
テナント型とは、デパートに複数の事業者が存在するように、「出店」という形を取ってECモールのプラットフォームに申請を出します。また、この場合事業者はプラットフォームに対し「出店料」を支払う必要があります。「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」などがテナント型の代表的な例です。
ECモール型のメリットとデメリット
ここでは、ECモール型のメリットとデメリットを紹介していきます。
ECモール型はゼロからのサイト構築が必要ありませんが、モール内は競合的な性質があることや出店手数料がかかるというデメリットも存在します。
まとめ
今回は、越境ECについての概要を示した後、ECに関連するものとして「自社EC型」と「ECモールタイプ型」の二つのタイプを説明していきましたが、いかがでしたでしょうか。
越境ECサイトに出店を希望していても何から始めていいかわからないという方も少ないと思います。
そのような場合はEC利用方法や必要費用などの質問を積極的に募集しているサイトや会社もあるため、そちらをうまく活用していくことが有効的でしょう。