越境ECの市場が拡大していっていると言われている中国で、今とても流行っているビジネスの方法として『WeChatプログラム』というものが注目されています。
今回は、中国で越境ECを利用しようか検討している方や、WeChatミニプログラムについてあまり知識がないという方向けに、WeChatミニプログラムとはなにか、越境ECにWeChatミニプログラムがおすすめな理由、WeChatミニプログラムの注意点などについて詳しくご紹介していきます。
目次
WeChatミニプログラムとは?
まずはじめに、そもそもWeChatミニプログラムとは何か?についてご紹介していきます。
中国のメッセンジャーアプリケーション
WeChatミニプログラムとは、2017年にリリースされた、センテント社によって運営されている中国のアプリケーションです。厳密には『WeChat』というアプリがあり、その機能として『ミニプログラム』というものがあります。
つまり、ミニプログラムとはWeChat内のアプリ『アプリ内アプリ』と言えます。通常、iOSやAndroidOSの場合、スマートフォンに直接欲しいアプリをインストールする必要がありますが、WeChatさえインストールしてしまえば、ミニプログ内のECサイトやホテル予約サイト、中古車販売サイトなどを簡単にインストールすることが可能です。
約12億人が利用している
WeChatミニプログラムというワードを聞いたことがないという方は、WeChatミニプログラムと聞いても何がなんだかさっぱりわからないですよね。上記でご紹介したように、WeChatというメッセンジャーアプリがあり、その中の機能のひとつとしてミニプログラムというものがあります。
日本で例えると『LINE』が1番近いものになります。LINEは、スマートフォンを持っている人であれば大体の方がインストールしていますよね?中国のWeChatは、日本のLINEと同じようにスマートフォンを持っている方であればほとんどの方がインストールしており、なんと中国国内で約12億人の方がWeChatを利用しています。
『LINE』+『Facebook』のようなアプリ
約12億人の方が日々利用しているWeChatというプラットフォームですが、なぜここまで多くの方に愛されているのでしょうか。上記では、日本でいうLINEのような位置付けだとご紹介させていただきました。しかし、もう少し細かく言うと、LINEにFacebookの機能が付け加えられたような仕組みとなっています。
メッセンジャーアプリのためチャット機能はもちろんのこと、ECサイトの他にもゲーム、生活サービス、旅行ツール、金融商品、画像・動画サービス、SNS機能などがミニプログラムとして利用できます。
『WeChatさえあれば、何でも済ませられる』という便利な点が、多くの中国人に愛されている理由です。
越境ECにWeChatミニプログラムがおすすめな理由
次に、越境ECにWeChatミニプログラムがおすすめな理由をご紹介していきます。
ここ数年で、ただでさえ市場規模が拡大してきている中国の越境ECですが、WeChatミニプログラムを利用することで更なる市場規模の拡大が見込まれています。
初期投資額やランニングコストが少なく済む
越境ECにWeChatミニプログラムがおすすめな理由として、初期投資やランニングコストが少なく済むという点が挙げられます。
中国で越境ECを始めようと思った時、みなさんがまず思いつくのが天猫や京東商城などのECモールに出店するという方法ではないでしょうか。
この方法は、天猫などの桁違いな集客力の影響力をダイレクトに受けられるため、とても魅力的ではあります。
しかし、初期費用はもちろん、手数料やランニングコストなどの支出が高額で個人や小規模事業者にはなかなか負担できません。
その他にも、自社サイトを開設するという方法があり、ECモールへ出店する方法に比べると初期投資額は少なく済みますが、ランニングコストはかかってしまいます。
WeChatミニプログラムであれば、上記の2つの方法の中で1番初期投資額が安く済み、またランニングコストも最低限に抑えることができます。
トライアル期間がある
越境ECにWeChatミニプログラムがおすすめな理由として、トライアル期間が設けられているという点が挙げられます。
WeChatミニプログラムで越境ECを始める場合、当たり前ですが開店までの準備期間が必要ですよね。
準備期間になるため商品は売れず、ランニングコストだけを支払わなくてはならないのですが、WeChatミニプログラムの場合、準備期間をトライアル期間とすることができるため、お得です。
お得に越境ECを始めたいという方は、ぜひトライアル期間を有効活用したWeChatミニプログラムを利用してみてください。
顧客数が莫大で馴染みやすい
越境ECにWeChatミニプログラムがおすすめな理由として、顧客数が膨大で馴染みやすいという点が挙げられます。
中国でスマートフォンを持っている方の中のほとんどの方がWeChatをインストールしており、その数はなんと12億人とも言われています。
WeChat内のミニプログラムでECサイトを運営すれば、自動的に12億人の中国人の方々を対象としていることになります。
天猫や京東商城といった巨大モールの会員数も多いですが、その天猫でさえ会員数は7,000万人以下です。
中国人は日本の商品を大変好んでいる傾向にあるため、そしてWeChatという日常的に利用しているアプリケーションということもあり、とても馴染みやすい方法と言えます。
「とにかく多くの中国人をターゲットにしたい」と考えている方にはWeChatミニプログラムがおすすめです。
アフターサポート機能が充実している
越境ECにWeChatミニプログラムがおすすめな理由として、アフターサポート機能が充実しているという点が挙げられます。
中国で越境ECを行う場合、重要となるのが商品を売った後のサポートです。返品、返金、使い方の問い合わせなど、中国人の方はサポートのスピードにシビアで、その点も含めて店選び、商品選びをします。
言い方を変えれば、日本の丁寧なアフターサポートを気に入っているとも言えます。
WeChatミニプログラムの場合、元々がメッセンジャーアプリなため、そのメッセンジャー機能を利用して顧客との連絡が取れるため、とても便利です。
ECモールに出店したり、自社サイトを開設する場合に比べて簡単にアフターサポートを充実させることができるため、おすすめです。
WeChatミニプログラムの注意点
次に、WeChatミニプログラムで越境ECを利用する際に注意しなければならない点についてご紹介していきます。
上記ではWeChatミニプログラムで越境ECを利用するメリットをご紹介しましたが、実はいくつか注意しなければいけない点もあります。
決済方法が選べない
WeChatミニプログラムで越境ECを利用する際の注意点として、決済方法が選べないという点が挙げられます。
ECモールへの出店の場合、巨大モールである天猫などでは、10種類以上の決済方法から好きなものを選べます。
また、自社サイトを開設する場合は、自分の好きな仕様に1からサイトを構築していくため、自分の好きな決済方法を選ぶことができます。
しかしWeChatミニプログラムの場合は、WeChat専用の決済システム『WeChat pay』しか選ぶことができません。
顧客側からすると、決済方法は選ぶ選択肢が多ければ多いほど助かるものです。
WeChatミニプログラムでの越境ECでは、決済方法が1つしか選択肢がないという点を覚えておきましょう。
審査がある
WeChatミニプログラムで越境ECを利用する際の注意点として、審査があるという点が挙げられます。
ECモールに出店する際の審査に比べると通過しやすくはなっていますが、審査に落ちてしまうとWeChatミニプログラムで越境ECを利用することができなくなってしまうので注意が必要です。
まとめ
WeChatミニプログラムとはなにか、越境ECにWeChatミニプログラムがおすすめな理由、WeChatミニプログラムの注意点などについて詳しくご紹介しました。
ただでさえものすごいスピードで市場が拡大している中国の越境EC市場ですが、WeChatミニプログラムが登場したことにより、このスピードはさらに加速していくと思われます。