台湾の越境EC市場規模は他国と比較しても大きく、今後さらに成長を遂げていくだろう国の一つと言われています。
また、日本製の高品質商品は海外でも一定の需要がありますので、国土的に距離の近い台湾に向けて商品を効率的に売り出すことができれば、会社の利益向上も期待できます。
そこで今回は、台湾の越境EC市場規模や、発展の背景にある台湾EC市場の特徴を紹介していきます。
目次
台湾のEC市場について
台湾におけるEC市場について、その規模と台湾向け越境ECを始めるメリットやデメリットについて、以下の順序で解説を進めていきます。
- 台湾のEC市場規模はどのくらいなの?
- 台湾に向けて越境ECを始めるメリットってなに?
- 台湾に向けて越境ECを始めるデメリットってなに?
それでは詳しく見ていきましょう。
台湾のEC市場規模はどのくらいなの?
2017年の経済産業省の調査によると、台湾のEC市場規模はおよそ2兆5061億円でした。
その中でも越境ECの市場規模はおよそ1300億円だと推計されています。
また、日本におけるEC化率は7.9%ですが、台湾のEC化率は10.4%であり、比較的高い数値を誇っています。加えて、ECが盛んな中国では20.4%、アメリカでは11.8%のEC化率となっています。
台湾において最もEC化されている業種は「AV・オーディオ家電」であり、その次にEC化されているのが「アパレル」、そして「化粧品」と続いています。
越境ECを推進していきたいと考えている場合は、ターゲットに選定した国々で特に注目を集めている商品に目を向けてみると良いでしょう。
また、台湾でのEC利用者数の中でも越境ECの利用者数が占める割合は16.0%であり、他の諸国と比較しても高い数値を打ち出しています。
ちなみに同項目で日本では19.9%を占めていて、アメリカでは6.0%の割合となっています。
そのため、利用者数が多い国とされている台湾に向けて今後さらに越境ECを拡大していくことは、さらなる企業発展につながるのではないかと考えられます。
台湾に向けて越境ECを始めるメリットってなに?
台湾では多くの親日派が存在しているため、それも一つの大きな要因となり日本製の商品も高い評価を得ています。
近年ではスマートフォンなどのガジェット機器の発達が起こり、インターネットのインフラも整備されてきたため、オンラインショッピングの利用者も増えてきました。
また、日本と台湾は大変距離も近く、配達にもそれほど時間がかからないため、遠くの国に向けて荷物を配達するよりもコストの低減が見込めるため、そちらも大きな利点であるといえます。
台湾に向けて越境ECを始めるデメリットってなに?
台湾においては、一部の商品の中には関税が高いものが存在します。
具体例を挙げると、日本酒(穀物酒)には20%の関税、砂糖菓子には20〜27.5%の関税が発生します。
ちなみに、2019年には日本酒の関税率が40%から20%へと下げられましたが、20%でも税率が高いことには変わりありません。
税率が高いと何が起こるのでしょうか。
関税というのは基本的に受け取り手が支払う金額となっておりますので、その金額が高ければ高いほど経済的な面で消費者の負担が大きくなってしまうのです。
関税が高くなってしまう分、付加価値の高い商品を売りださなければ、企業に対する支持を得られない結果となってしまうでしょう。
台湾EC市場の特徴を5つ紹介
ここでは、台湾でのEC市場展開の背景にある特徴について、下記の5つに焦点を当てて紹介していきます。
- インフラ市場に関すること
- コンビニ受け取りに関すること
- モールに関すること
- 親日派に関すること
- 台湾における生活スタイルに関すること
それでは、以下から簡単に解説していきます。
インフラ市場に関すること
台湾では、日本と同じようにインターネットのインフラ整備がかなり進んでいます。
そのため、公共の場所や観光地でもフリーWi-Fiが設置されていることが多いです。
物流の観点から見ても、国自体の面積が小さいことも関係して、同じ市内への配達であれば一番速くて3時間程度で商品を届けることができます。
越境ECに限らず、さまざまな日本の物流企業が台湾の商取引等に参入しています。
決済方法も多様化されていて、特に商品到着時での代金引換やコンビニ支払いなどの方法が頻繁に利用されています。
コンビニ受け取りに関すること
人口が多いわけでも、国の面積が広いわけでもない台湾ですが、コンビニの数は多いです。
台湾に在住している人々にとってコンビニは大変利便性が高く、頻繁に利用されています。
台湾には共働きの夫婦がたくさんいるため、ECで買い物をしたあと、空いた時間にすぐに立ち寄れるコンビニ受取が特に好まれるようです。
モールに関すること
台湾ではEC利用者が多いということは前述した通りですが、その中でもよく利用されるのがECモールだといいます。
特に有名なものとしては、「momo購物網」や「PChome」などのモールで、日本国内でも頻繁に利用されている「Yahoo奇摩購物中心」や「樂天市場」なども台湾でよく使われています。
親日派に関すること
2017年の日本政府観光局(JNTO)の調査書によると、この年の日本を訪れた台湾人は456万人であり、その中でも観光目的で訪れた総数は436万人とされています。
この数値は、日本を訪れた外国人に関する国別ランキングでは3位に値します。ちなみに、1位は中国、2位は韓国です。
また、2020東京オリンピック・パラリンピックで訪日外国人が増えることが予想されていましたが、新型コロナウイルスの拡大によりさまざまな国で入国制限などがかけられたために、期待通りの数値は打ち出せませんでした。
しかし、ステイホームの影響でオンラインショッピングを活用する人も増えて、日本の製品を利用して気に入った外国人が同じ商品をリピート購入することも珍しいことではなくなりました。
台湾における生活スタイルに関すること
台湾においては、日本と同じように「晩婚化」という現象が進んでいます。前述した通り、共働きの夫婦が多いため、経済的な面で余裕を持っている人々が多いといいます。
日本に比べると物価も安いため、商品を買うことに大きな抵抗がなく、台湾では購買率が高いようです。
台湾をターゲットにして越境ECを発展させよう
2017年に行われた資策會產業情報研究所 (MIC)の調査によると、台湾の消費者のおよそ40%が海外のサイトで商品を購入しているといいます。
新型コロナウイルスの影響もあり、現代の時代背景から日本国内のインバウンド消費が落ち込み、今以上の売上向上を目指している企業も多いと思います。
そんな中で海外進出をビジネス発展の視野に入れ始めることは不思議なことではありません。
越境ECはあらゆる国の人々が顧客になる可能性を秘めていますが、当然言語や法律などの壁があります。
そのため、インフラ整備も進んでいて、経済成長も見込めて、国同士の距離も近い台湾市場から越境ECを始めていくのも一つの有効的手段だといえます。
トレンドチェック
台湾在住の消費者は、日本と同じようにSNSで商品の情報を得ることがほとんどです。
基本的に台湾では、高品質なうえ長期間の利用が可能な商品が好まれる傾向がありますので、日本製の商品は需要に合っています。
東日本大震災の影響で放射能に関連した問題が発生してからは、一部地域からの輸入に対して制限をかけるなどの措置は未だに続いておりますが、それでもやはり日本の商品は台湾の人々にも好まれて利用されています。
また、近年では、日本製の冷凍食品が手間要らずの美味しい商品として高評価を得ています。
SNSで台湾在住の消費者のトレンドを随時確認し、どのようなものが好まれる傾向にあるのかをリサーチしておくとよいでしょう。
社会問題
さらに、台湾では少子高齢化や未婚率の高さの観点からみて、日本とほとんど同じような社会問題に直面しています。
社会問題において共通点が多いということは、日本国内で行っているマーケティングの手法を活かせる可能性があるということです。
なぜなら、現在その国でどのような社会問題があり、その社会問題によって国民がどのような商品・サービスを求めているのかということを考慮しながら、国ごとに特徴のあるマーケティング手法が完成されていくからです。
商売に関係した情報に限らず、その国の社会情勢にも目を向けてみると新たな発見があるのではないでしょうか。
関税の手続きと営業税
海外で商品を販売したい場合に配慮するべき点は、関税の手続きです。
台湾在住の人々に向けて商品を出荷する際には、きちんと輸出申告を行い、審査や検査を受けなければなりません。台湾側から輸出の許可が下りると、無事商品の搬出が始まることになります。
そのあとは台湾の保税区に商品が運ばれ、手続きが完全に終了するのを待ちます。
関税の手続きは複雑な部分が多いため、事前に手続きに関する知識を蓄えておき、申請書類や許可証等、関税手続きにはどのようなものが必要なのかということをあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
まとめ
今回は、台湾の越境EC市場規模や、発展の背景にある台湾EC市場の特徴を紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
台湾に限らず、越境ECを通じた海外向けの商品販売は確実に企業の発展につながります。
法律や言語などの壁は存在しますが、越境ECは非常に魅力的かつあらゆる成長の可能性を秘めた市場だといえます。
越境ECを推進したいと考えている場合は、手軽に運営ができて、さらにSNSとも連携して確実な集客が見込めるプラットフォームを探し出して利用すると良いでしょう。