越境ECとグローバルECは似たような言葉ですが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?結論としては、双方の意味合いに大きな違いはありません。そもそも越境ECとは、日本国内から海外に向けて商品・サービスを販売するECのことです。「越境=国境を超えること」なので、日本から海外に向けた商品販売を指します。
これまでは日本国内向けのECサイトが一般的でしたが、最近では世界に向けて販売する越境ECに注目が集まっています。越境ECの盛り上がりは日本だけでなく、中国やアメリカ、イギリスなど、世界中で話題となっています。
一方、グローバルECの場合は「グローバル=世界的規模」なので、本質的な意味合いは同じだと言えるでしょう。詳しくは、「日本以外の国をターゲットにしたECサイト」を指します。
以上のことから、「越境EC=グローバルEC」だと捉えることができます。
目次
越境ECとグローバルECを分けて考えることもできる
「越境EC=グローバルEC」だと解説しましたが、双方を分けて考えることもできます。
例えば、越境ECではなく、あえてグローバルECという言葉を用いた場合、日本を介さず海外のみで取引を完結させるECを意味するケースが多いです。
越境という言葉は日本から海外に超えることを指すため、日本で運営するECでの販売を海外に向けることを意味します。その反面、グローバルECは国境を超えるという意味を含まないため、海外市場のみで展開するECという意味で用いることが可能です。
越境ECとグローバルECは本質的な意味合いは同じですが、状況によっては異なる言葉として用いることもできるのです。
越境ECと国内ECの違い
越境ECと国内ECは言葉の通り、まったく異なる意味合いを持ちます。
国内ECとは、日本国内に向けて商品を販売するECサイトのことです。代表的なECサイトとしては、楽天やYahoo!ショッピング、ZOZOTOWNなどがあげられます。
一方、越境ECは日本から海外に向けて商品を販売するECサイトであるため、適用される法律やルール、相手にする顧客層が大きく異なります。
つまり、「越境EC=海外向けのECサイト」「国内EC=国内向けのECサイト」であり、それぞれ運用の仕方やコスト、マーケティング手法など、異なる部分が多数存在します。
越境EC(グローバルEC)を運用するメリット・デメリット
越境EC(グローバルEC)を運用するメリット・デメリットを解説します。次項では国内ECのメリット・デメリットを解説するため、双方の良い点と悪い点を比較してみてください。
越境ECのメリット
越境ECを運用する最大のメリットは、商品・サービスを販売できるターゲット層を増やせることです。日本人だけに商品を販売する場合、どんなに多くても人口の約1.26億人にしかリーチできません。
しかし、越境ECを用いて全世界に商品を販売すれば、約78億7,500万人にリーチすることが可能です。あくまでこの数字は理論値であるため、実際この人数にアプローチできるわけではありませんが、より多くの人に知ってもらうという点では変わりません。
当たり前ですが、商品・サービスの販売数が多くなればなるほど、結果的に売上に直結するため企業としての拡大につなげられます。
越境ECのデメリット
越境ECを運用するデメリットは、国内向けの販売に比べてハードルが高いことです。越境ECで商品を販売する場合、海外の顧客を相手に商売をするため、日本での常識は通用しません。
また、法律やルール、価値観、ニーズ、輸送コストが異なるほか、商品が顧客の手元に届くまでのスピードもまったく違います。そのため、商品が届くまでに時間がかかってしまった、輸送途中で商品が破損してしまったなど、想定外のトラブルが起こりやすくなります。
さらに海外に向けて商品を販売するため、進出する国に対する十分な理解が必要です。特に言語への理解を深めておかなれけば、効果的な販売につなげることは難しいでしょう。
このような背景から、越境ECを運用して海外に商品を販売する際には、さまざまな課題に直面すると予測できます。
国内ECを運用するメリット・デメリット
越境ECに続いて、国内ECを運用するメリット・デメリットを解説します。それぞれの良い点悪い点を比較し、自社に適している運用方法を見つけましょう。
国内ECのメリット
国内ECを運用するメリットは、誰でも簡単に参入できることです。国内に向けて商品を販売する場合、基本的に日本語を用いて説明文を記載するため、英語や中国語を使用する越境ECに比べて容易に販売できます。
また、国内ECで成功した事例が数多く存在するため、マーケティング手法やサポート対応、配送手続きなど、不明点があった場合でもすぐに解決できるでしょう。
そのほか、国内ECで運用するメリットとして、以下のようなことが考えられます。
- 顧客ニーズを把握しやすい
- SNSなどで商品を宣伝しやすい
- 商品の発送時にトラブルが少ない
- 低コストで始められる
- 実店舗と連携しやすい
国内ECのデメリット
国内ECを運用するデメリットは、ビジネスの拡大にあまり期待が持てないことです。中国・アメリカをはじめとした世界各国では、オンラインを使った海外ビジネスに注目が集まっています。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、国内だけで商品を販売する場合に比べて、世界に向けた販売方法のほうが効果的な売上アップに期待できます。一方、手軽だからという理由で国内ECのみに留まってしまうと、世界中で注目される海外ビジネスへの参入機会が失われ、ECの売上を大きく伸ばすことができません。
また、最近では大手企業だけでなく、中小企業でさえも越境ECに力を入れています。つまり、この流行に乗らないということは、結果として機会損失を招いてしまうリスクとなるのです。
越境EC(グローバルEC)に参入する3つの方法
越境ECに参入する方法は、大きく分けて以下の3つが考えられます。
- 自社ECサイトを構築する
- 国内のオンラインモールに出店する
- 海外のオンラインモールに出店する
それぞれ特徴が大きく異なります。越境ECへの参入を検討している方は、以下詳細を必ずご確認ください。
方法1.自社ECサイトを構築する
1つ目の参入方法は、自社ECサイトの構築です。自社ECサイトを構築するためには、国内のECベンダーに依頼し、多言語化に対応する必要があります。
1からECサイトを構築するため、ほかの参入方法に比べてハードルが高く、初期費用が多く発生するなどデメリットが伴います。
しかし、自社ブランドのみを訴求できるという大きな利点が見込めます。自社ブランドのみを訴求して販売すれば、購入した顧客と継続的に関係を持てることから、長期的な売上につながると言えるでしょう。
また、ECサイトのデザインを自由に決められるというメリットもあるため、自社の予算を踏まえた上で検討してみてください。
方法2.国内のオンラインモールに出店する
国内のオンラインモールに出店するという手もあります。既存の国内モールに出店するだけなので、最もハードルが低い方法だと言えます。
国内モールを用いれば簡単に参入できますが、ECサイトのデザインは基本的に変更できません。また、他社商品に埋もれてしまう可能性があるほか、別途手数料が発生するなどデメリットも伴います。
とはいえ、低コストでスタートできる点は魅力的であるため、「初めての越境EC運用で不安がある」という方は、国内モールへの出店を検討してみてください。なお、代表的な国内モールは以下の2つがあげられます。
- Shopify(ショッピファイ)
- Launchcart(ランチカート)
「越境ECの知識がない」という方でも、手順を調べながら進めることで、越境EC運用を実現できるでしょう。
方法3.海外のオンラインモールに出店する
3つ目は、海外のオンラインモールに出店する方法です。国内モールと異なる点は、進出する国の顧客を獲得しやすいところです。また、保税区の利用に伴い、配送時間を短くできるというメリットも見込めます。
しかし、海外モールは基本的に英語や中国語の表記なので、進出する国の言語を理解しておく必要があります。また、国内モールとは利便性が大きく異なるため、慣れるまでに時間がかかってしまうでしょう。
なお、代表的な海外モールは以下をご参考ください。
- Amazon(アマゾン)
- eBay(イーベイ)
- Lazada(ラザダ)
- 天猫国際(テンマオ)
- 京東商城(ジンドン)
海外のオンラインモールは国ごとに複数のECが存在するため、それぞれ詳しく理解した上で、自社の商品に合わせて参入することをおすすめします。
まとめ
本記事では、越境ECとグローバルECの違い、越境・国内ECそれぞれのメリット・デメリットを解説しました。
越境ECとグローバルECの双方は、本質的には同じような意味合いを持ちます。しかし、状況によっては別の意味合いを持たせることもできるため、使用する際は少し注意が必要です。
また、越境ECと国内ECにはそれぞれメリット・デメリットがあるため、自社の目的やビジネスモデルを踏まえた上で、適切な参入方法を検討しましょう。