近年では越境ECが急激に成長していますが、なぜでしょうか。新型コロナウイルスの拡大という現状のために気軽に国境を越えられなかったり、2020東京オリンピック・パラリンピックの延期が重なって、現地での買い物が難しくなってきたという時代背景の変動も影響して、越境ECの需要が拡大してきたことも考えられます。
そこで今回は、日本を含めた世界で越境ECが注目されるようになった理由と、よく使われている大手越境ECサイトを5つ紹介していきます。
目次
越境ECが急成長しているのはなぜ?
近年では、日本を含めた全世界で越境ECが急成長していますが、それはなぜでしょうか?
企業視点と消費者視点に焦点を当てて、説明していきます。
企業視点
ここでは、企業視点から見た越境ECの魅力をお伝えします。
- 市場を大幅に拡大できる
- 実店舗以上の低コスト
それでは、一つ一つ解説していきましょう。
市場を大幅に拡大できる
企業側からすると、越境ECの利用で市場を拡大させるチャンスが存在しています。
グローバル化が進み、少子化問題も出ている世の中で、日本国内での消費量が低下していくことを見込んで海外に市場を求める企業が増え続けています。
そんな中、越境ECはインターネット社会における国外の市場開拓に非常に適しています。
最近では、デジタルマーケティングの方法も多様化しており、宣伝から商品を購入するまでの全てをインターネットで完結することができるため、越境ECは今後さらに発展していく可能性が高いです。
実店舗以上の低コスト
実際に現地に赴き、そこに実店舗を建設するとなると、非常に多くの手間と時間が必要になります。当然、それに付随して多額の費用も支払わなくてはなりません。
越境ECを通じて海外に商品を売り出すことができれば、テナント代や人件費などのコストを削減できるだけでなく、海外に実店舗を出す際のリスク軽減も望めます。
消費者視点
消費者視点から考えたときの越境ECのメリットとして、以下の点が挙げられます。
- 自国にはないレア物が手に入る
- 偽物を避けて買い物ができる
それでは、以下から詳しく見ていきましょう。
自国にはないレア物が手に入る
グローバル化が進んでいる現在ですが、海外製品で実際に購入したいと思ったものが近くの店舗で気軽に購入できる、という段階にはまだ完全には至っていません。
そのような時に有効に使える便利なツールが、越境ECなどを通じたオンラインショッピングです。
偽物を避けて買い物できる
一般的なオンラインショッピングでは、企業のみならず消費者間での取引もできるようになっているため、偽物を販売したり、新品の画像に見えても中古品が配送されたりと、さまざまなトラブルが起こります。
しかし、公式の越境ECを利用すれば、偽物の販売や品質の悪い商品の転売なども起こらず、安全な取引が可能になります。
消費者にとって「安全な取引ができるかどうか」というのは非常に重要な点なのです。
越境EC、コロナ禍の影響は関係あるのか?
新型コロナウイルスにより、海外からの入国制限が起こり、留学生などでも国境を越えられなくなってしまう状況が生まれました。
このような時代背景の中、国内のインバウンド消費が著しく低下したため、非常に多くの企業が越境ECに注目するようになりました。
越境ECを利用すると、拠点がない国や地域に対しても商品を売り出すことが可能で、メーカー・小売企業などで特に越境ECの活用が進められています。
また、2020年からは、中国に対する売上の高さに加えて、アメリカ向けの越境ECの売上も拡大していきました。
中国人・アメリカ人が越境ECを利用する理由って?
中国についてですが、iResearch 2016 China’s Cross Border online Shoppers Reportによると、中国人が越境ECを利用する理由としては、「正規品であり、商品の品質が保証されているから」が全体の60%を占めています。
また、「低価格であるから」という理由が58%、「国内では手に入れられないレア物が購入できるから」という理由が全体の52%となっています。偽物が出回りやすい国ということもあり、消費者が「商品の質」を重要視する点は納得できます。
アメリカについてですが、2016年のUPS “Pulse of the Online Shopper: Empower Consumers Changing the Future of Retail”の調査によると、「比較的低価格で買えるから」という理由で越境ECを利用しているアメリカ人の割合が全体のおよそ50%を占めています。
また、「好きなブランドだから」という理由が43%、「国内にはないユニークな商品を求めているから」という理由が全体の35%を占めています。
大手越境ECサイトを5つ紹介
ここでは、越境ECを自社型で運営しているところや、越境ECサービスの提供を行う企業のサイトを以下の5つに焦点を当てて紹介していきます。
- asos
- ebay
- Farfetch
- Buyee
- Amazon
それでは、一つ一つ見ていきましょう。
asos
asosはイギリスが発信元である大手オンラインファッションECサイトです。
レディース・メンズ両方のさまざまなブランドを扱っており、衣服のみならずスキンケア商品やホーム関連のグッズなどの取り扱いもあります。
自社開発のオリジナルブランドも展開しています。
多種多様の国からの取引が可能で、配送料などが難しい価格の表記も購入場所に合わせて調整できるようになっています。
ebay
ebayとは、世界で最も大きいと言われているネットオークションのサービスです。
世界各地で展開されていて、異国間での取引が頻繁に行われています。
新品から中古品まで取引されていて、色々な分野の商品を販売できるのがebayの特徴です。
オークション形式での販売のため、値段と製品のニーズを考えた場合にバランス掌握の難しさがありますが、ニッチな市場を開拓できるチャンスがあります。
Farfetch
FarfetchはオンラインファッションECサイトで、そのメインは高級ブランド系です。
購入商品を取り扱うセレクトショップが集まり、商取引が展開されています。
さまざまな国へ配送することが可能であり、一部では価格の表記が現地に合わせて調整できる仕様になっています。
輸入関税の手数料が表記価格に含まれている点も魅力的です。
商品は各セレクトショップを通じて送られますが、こちらのサイトはさまざまな国に支店を置いて運営しています。
Amazon
有名ECサイトであるAmazonは、基本的にさまざまな国に合わせたマーケットプレイスを利用する仕組みになっています。
また、「Amazon global selling」というサービスの提供により、登録料や手数料の支払いを行うことで、国内から他の国のAmazonに商品を出品することができます。
ある程度人気を持つ日本特有文化のブランドはなかなか海外の街中ショップでは買えないので、このような越境ECサイトから購入することができるというのは、大きな利点と言えます。
Buyee
Buyeeというのは、tenso株式会社が運営している代理購入・発送サービスです。
海外在住の顧客に代わり、Yahoo!ショッピングやヤフオク、楽天、zozotownなどで売られている商品をBuyeeが代理で購入し、発送するという仕組みになっています。
つまり、海外の顧客と国内のECサイトの間に入り、サポートを行っているということです。現在、多くのECサイトが利用しています。
中国の中心的なECサイト
ここでは、中国におけるメインのECサイトを紹介していきます。
中国の中心的なECサイトとして有名なものは、「天猫(Tmall)」と「京東(JD.com)」、さらに「拼多多(pinduoduo.com)」の三つが挙げられます。
拼多多(pinduoduo.com)は、2015年に設立され、近年特別な成長を見せている会社です。
なんと、この3社でEC市場のシェアのおよそ8割近くを占めているというデータも存在します。
基本的に、中国人の方々は商品を検索する際に、検索エンジンを使用しません。
利用者の多い「天猫(Tmall)」と「京東(JD.com)」のECサイトで商品を探すことがほとんどでしたが、そのトップ2に割って入ったのが「拼多多(pinduoduo.com)」でした。
なぜ拼多多は成功したのか?
拼多多(pinduoduo.com)のECサイトが成功した理由としては、以下の項目が挙げられます。
- ターゲットを所得の低い人々に絞った
- SNSの要素をECに取り入れた
- 共同購入により商品を安く売り出した
「拼多多(pinduoduo.com)」は、これまでトップに躍り出ていた「天猫(Tmall)」が、これまでターゲットにしていなかった新しいユーザー層を狙い、新規のショッピング展開を提供したということで爆発的に成長したのです。
まとめ
自国のみならず海外に向けて商品を越境ECサイトで販売できるというのは、さまざまな経営者にとって企業発展の大きな進歩になり得るものです。
また、自国では簡単に手に入れることのできない商品を越境ECを通じて簡単に購入できるというのは、消費者視点からしても大きなメリットとなります。
大手越境ECサイトなどを参考にしながら、自社がどのような販売形態を重要視しているかを整理し、越境ECを通じた海外への販売を考えていきましょう。