現代の情報社会ではインターネットとスマートフォンが普及しており、さまざまなサービスを簡単な操作で受けることができるようになりました。
中でも、インターネット上で買い物をすることができるサービスが人気となっています。インターネット上で取引を行うことができるウェブサイトのことを「ECサイト」と呼びます。
ここでは、近年、「ECサイト」の中でも市場が拡大している越境ECについて詳しく解説していきたいと思います。また、越境ECの市場が拡大している理由とメリット・デメリットについて述べていきます。
目次
越境ECの市場規模が拡大している理由
国際経済において、越境ECの市場規模が大きく拡大しています。そして、越境EC業界における経済成長率は毎年20%以上成長しています。
越境ECは、経済力が大きい先進国などの国家での普及率が高いです。それぞれの国家の越境ECの利用者数(2020年)は下記のようになっています。
- 中国→7000万人
- アメリカ→3400万人
- イギリス→1400万人
- 日本→900万人
このように、越境ECの利用者が非常に多いということがわかります。そのため、2020年には越境ECの市場規模が9123億ドルもあるという調査結果がありました。
では、なぜ越境ECの市場が拡大しているのでしょうか。越境ECの市場が拡大している理由は、主に3つ挙げられます。
- インターネット・スマートフォンの普及
- WEBマーケティング業界の発展
- 企業の多様化
ここからは、上記の3つの理由について詳しく解説していきます。
インターネット・スマートフォンの普及
冒頭でも述べましたが、現代はインターネットやスマートフォンなどのIT技術の発展が著しく、越境ECの市場が拡大した大きな理由の1つとなっています。スマートフォンが登場した当初は、スマートフォンを保有している方が少なく、インターネットの利用率も高くありませんでした。
しかし、現在は日本の20歳以上のスマートフォンの保有率は90%を超えています。特に、若年層のスマートフォンの保有率は95%以上であり、現代人の必需品となりつつあります。
また、日本ではスマートフォンの格安プランが登場していることから、スマートフォンの保有率が向上することが考えられます。スマートフォンの保有率が向上すると、インターネットの利用率も向上します。
したがって、インターネットの利用頻度が高くなり、オンライン上で買い物をする方が増えることからEC市場(越境EC市場)の市場規模が拡大するという仕組みになっています。
WEBマーケティング業界の発展
WEBマーケティング業界は、スマートフォンとインターネットの利用が普及したことによって発展しました。では、WEBマーケティングの発展には、どのようなことが挙げられるのでしょうか?
- セキュリティの確保による安全性の向上
- 商品の種類・数の充実
- 決済方法の拡大
- SNS上の動画などの広告
- eスポーツのスポンサー
- インフルエンサーによる宣伝
特に、YouTubeやインスタグラムなどのインフルエンサーによる商品の宣伝は大きな効力があり、WEBマーケティング業界の発展に大きく貢献しています。
また、消費者の購入欲求を促進させるようなサイトづくりやキャンペーンを行うという企業戦略をしていることも発展の理由として考えられます。
企業の多様化
企業の多様化によって、越境ECの市場規模が拡大をしているとはどのようなことなのでしょうか?例えば、商品の販売をオンライン上のみに限定した企業が多く登場しました。つまり、商品を販売する上での実店舗を1つも設けていないということになります。
商品を販売するための店舗を設けないことによって、商品が売れなくなるというデメリットが考えられるでしょう。しかし、店舗を設けないことによって土地代や人件費などの固定費を最小限に抑えることができます。
固定費を削減することによって、商品を安く消費者に提供することができます。そのため、企業の商品の購入率を向上することができます。
上記のような理由もあり、企業の多様化によって越境ECの市場が拡大しました。
越境ECのメリット
現在、市場が拡大している越境ECですが、越境ECのビジネスにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
越境ECのビジネスを開始することによるメリットは、主に3つあります。
- 海外の方と取引をすることができる
- 低コストでの経営が可能
- 国内の景気に影響されない
ここからは、上記のメリットについて具体的に解説していきます。
海外の方と取引をすることができる
越境ECを始めることによって海外との取引を行うことが可能になります。すなわち、消費者層を日本国内から世界規模にすることができます。
そのため、より高い収益性を見込むことができるようになります。例えば、高齢者層をターゲットとした商品を販売したとします。従来であれば、商品の販売対象は日本国内に限られていました。しかし、越境ECを始めることによって、販売対象が世界に広がります。
また、海外の需要に合わせてビジネスを展開することができるということも越境ECのメリットであるということができます。
低コストでの経営が可能
先ほども述べたように、越境ECを利用することによって会社が多様化します。そのため、会社の経営を低コストで行うことができます。
ECサイトを立ち上げることによって、店舗を持つ必要が無くなったり、人件費の支払いをする必要が無くなるので支出を減らすことができます。そのため、越境EC は中小企業やベンチャー企業などの資金力が少ない企業でも参戦できる業界であることがわかるでしょう。
国内の景気に影響されない
越境ECのビジネスを始めるにあたり、国内の景気に左右されずに経営を行うことができるというメリットがあります。なぜなら、ビジネスの対象地域が日本国内ではなく、世界全体を対象にしているからです。
たとえ、国内の景気が悪い場合でも、他の国の景気が良い場合には商品を購入してくれる消費者が減ることはありません。したがって、国内の景気によって会社の業績が大きく変動することが少ないということは大きなメリットです。
越境ECのデメリット
さまざまなメリットがある越境ECですが、デメリットもいくつかあります。越境ECのデメリットは、主に3つあります。
- 国によって法律や為替相場が異なる
- 言語の違いに対応する必要がある
- 配送する場合に関税が発生する
ここからは、上記のデメリットについて詳しく解説していきます。
国によって法律や為替相場が異なる
越境ECのビジネスをする場合には、販売国の法律や為替相場を理解する必要があります。なぜなら、国によって、法律や為替相場は大きく違うからです。
例えば、販売国の法律で輸入が禁止されている商品を知る必要があります。また、為替相場が異なると、商品単価が国によって異なってきます。そのため、商品の表記を日本円にするなどの対策が必要になってきます。
言語の違いに対応する必要がある
越境ECを始める場合は、消費者がサイトを読めるように言語の違いに対応する必要があります。日本語と英語以外にも対応できる言語を増やすようにしましょう。
配送する場合に関税が発生する
国境線を越えて、商品の取り引きを行う場合は関税がそれぞれ発生します。また、国によっても関税が発生した際の手続き方法も異なります。そのため、輸出国の関税や国際郵便を利用する際のルールについてあらかじめ確認しておくようにしましょう。
また、商品の配送を代理で行ってくれる企業もあります。商品の代理配送を承っている企業を利用するという選択肢も視野に入れておきましょう。
まとめ
ここまで、越境ECの概要と日本で市場が拡大している理由について述べた上で、越境ECのメリットとデメリットを詳しく解説してきました。
越境ECは、日本でも市場が拡大しているビジネス方法です。また、日本の商品は世界から高い評価を得ています。そのため、日本の商品を販売する場合は注目度は高くなるでしょう。
しかし、越境ECのビジネスを始める場合には各国の法律や貿易をする上でのルール・現在の世の中のニーズを見極める必要があります。上記のことを理解した上で、越境ECビジネスの開始を検討してみてはいかがでしょうか。