国境を越えて商品の販売をする越境ECというビジネスがあります。特に、越境ECはコロナ禍で市場が拡大しているビジネスであるため、多くの方が越境ECの市場に参入しています。
中でも、中国は越境ECの市場が世界で最も大きいです。そのため、中国の越境ECの市場は参入がしやすいといえます。
そこで、今回は中国の越境ECの市場に参入するメリット・デメリットを解説していき、中国での越境ECの法規制のポイントを詳しく解説していきます。
目次
中国市場に参入するメリット
中国で越境ECの市場に参入する際のメリットは、主に5つあります。
- 法定検査が不要
- 新規で輸入する際に審査認可が不要
- 軽減税率が適用される
- 越境ECのプラットフォームが豊富
- 日本の商品の需要が高い
ここからは、上記のメリットについて詳しく解説していきます。
法定検査が不要
商品を中国に輸出する場合に、法定検査に該当する場合でも通関書類を提出する必要がないというメリットが挙げられます。
下記は、通関書類として挙げられるものです。
- 売買契約書
- 仕入書
- パッキングリスト
- 船荷証券
- 委任状
中国では、法定検査を導入していたことによって、大量の商品の認可で大きな混乱が税関に生じました。2019年1月に適用された新制度によって法定検査の省略を可能にし、税関の問題を解消しました。
新規で輸入する際に審査認可が不要
同様に、2019年1月の新制度によって中国では法定検査に加えて、新規で商品を輸入する際に審査認可の作業が不要になります。
そのため、消費者は海外の化粧品や粉ミルク・薬品・医療機器などの認可が必要な商品を越境ECを利用することによって入手することができます。
軽減税率が適用される
中国では、越境ECビジネスへの待遇が良いです。中でも、軽減税率の対象になる制度が越境ECにはあります。
軽減税率が適用されることによって、関税が0%になり、増値税(消費税)が一般貿易税率の増値税額70%に下がる(保全区モデルの場合)という特徴があります。
例えば、以前は食料品に16%の税率がかかっていました。しかし、軽減税率が適用されることによって税率は11.2%になります。
つまり、本体価格で100円の商品にかかっている税金が16円に対して、約11円になるということです。
越境ECのプラットフォームが豊富
中国では、越境ECの市場が充実しています。同時に、中国では越境ECのプラットフォームのサービスが普及しているということになります。
中国で主要な越境ECプラットフォームは下記のようになっています。
- タオバオ
- Tmall
- JD.com
- YMT
- Yiaodian
特に、Tmallは中国でも最大の越境ECサイトとして有名です。
中国の越境ECプラットフォームを利用してビジネスを展開するメリットとして、消費者が商品を購入してくれやすくなるということが挙げられます。しかし、越境ECのプラットフォームに登録することによって手数料や掲載費を支払う必要性が出てくるというデメリットもあります。
日本の商品の需要が高い
中国では、日本の商品の質が良いことから日本商品の需要が非常に高いという特徴があります。そのため、日本の商品を越境ECで販売することによって高い利益を見込むことができます。
日本の商品の需要が高いため、多くの日本企業は中国の越境ECの市場に参入しています。中国で越境ECのビジネスを展開する場合は、中国の需要を分析した上で商品の販売をするなどの工夫をしましょう。
中国市場に参入するデメリット
ここまで、中国の越境ECの市場に参入するメリットについて紹介してきましたが、中国の市場に参入することによるデメリットはどのようなことが挙げられるでしょうか。
中国の越境EC市場に参入することによるデメリットは、主に3つ挙げられます。
- 中国語に対応する必要がある
- 主流の決済方法を導入する必要がある
- 必要な知識量が多い
ここからは、上記のデメリットについて詳しく解説していきます。
中国語に対応する必要がある
中国で越境ECビジネスを展開する際には、自社の商品を案内をするためにサイトを中国語仕様にする必要があります。
また、サポート体制も整える場合には中国語が話せるスタッフの雇用をする必要性が出てきます。
主流の決済方法を導入する必要がある
国によって、商品の決済方法は異なります。例えば、現在、日本では電子マネーによる決済が主流になっています。
中国でも、日本と同様に電子決済が決済方法の主流となっています。また、クレジットカードでの決済も中国では普及しています。
中国で有名な電子決済は下記のようになっています。
- Alipay
- WeChat Pay
上記の電子決済は、多くの越境ECプラットフォームでも利用されています。中国で人気な決済方法を理解することによって、消費者が利用しやすいサイトづくりができます。
必要な知識量が多い
中国で越境ビジネスを展開する場合には、法律や越境ECプラットフォームの利用方法など、契約を締結する際に多くの知識が必要になります。
特に、越境ECの市場が中国で普及しているので、越境ECに関する法律も充実しています。また、越境ECの法律は制定や改定を何度も繰り返すので、頻繁に法律を確認しなければなりません。
中国における越境ECの法規制のポイント
中国での越境ECの法律の内容を十分に理解しなければ、越境ECのビジネスを展開するのは困難となります。特に法規制を理解しなければ、大きな不利益を被ることになります。
越境ECの法規制のポイントは、主に5つあります。
- 限度金額内の取引をする
- 個人使用目的でなければならない
- 税関が管理できるルートを経由する必要がある
- ポジティブリストに該当する
- 個人情報の保護に努める
ここからは、上記の5つのポイントについて詳しく解説していきます。
限度金額内の取引をする
中国で越境ECの市場に参入する場合には、限度額内の取引をする必要があります。
原則として、1回の取引金額が5000元以内である必要があり、個人の年間での取引金額は2万6000元を超えてはなりません。この金額を超えてしまうと、中国の越境ECに該当しなくなり、軽減税率の対象になりません。
個人使用目的でなければならない
個人使用目的の方に商品を販売するという点が法規制において大きなポイントになります。つまり、企業に向けたBtoB形式の商品の販売は越境ECの法律では認められていないということです。
税関が管理できるルートを経由する必要がある
中国の越境ECで販売する商品は、税関が管理できるルートを経由する必要があります。なぜなら、税関が商品を管理することができなければ、中国で違法になってしまう商品が販売されてしまうからです。
中国で越境ECのビジネスを展開する方は税関の場所などを確認しておきましょう。
ポジティブリストに該当する
1321種類の商品が記載されている「ポジティブリスト」に該当している商品でなければ、中国での越境ECのビジネスは認可してもらうことができなくなります。
中国のポジティブリストに該当する商品には下記が挙げられます。
- 医療器具
- サプリメント
- 米
- 砂糖
- 革製品
上記で挙げた商品以外にもさまざまな商品がポジティブリストに該当しています。ビジネスを展開する前に確認をするようにしましょう。
また、日本から輸出が禁止されている商品も確認を怠らないようにしましょう。
個人情報の保護に努める
中国における越境ECの法律(電子商取引法)は、中国の越境ECのビジネスに参入する方に向けた法律であると同時に、越境ECの消費者の個人情報を守る法律でもあります。
そのため、中国の越境ECのビジネスに参入する方は、消費者の個人情報を保護するためにもサイトのセキュリティの強化に努めるようにしましょう。
法律の理解が困難な場合は?
中国の法律の理解が困難な場合には、中国の法律や越境ECに詳しい専門家に仕事を依頼するなどの対策を取るようにしましょう。
また、中国語を読めない方は通訳を雇用することも検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ここまで、中国の越境EC市場に参入するメリットとデメリットについて述べた上で、中国の越境ECに関する法規制のポイントについて解説してきました。
市場が非常に大きいことから、中国の越境EC市場に参入することを検討している方は多いです。しかし、中国で越境ECビジネスを展開する場合には、デメリットもあることを理解しましょう。
また、中国では越境ECの市場に加えて、越境ECに関する法制度も充実しています。そのため、法制度を理解した上で、越境ECのビジネスを展開することが重要になります。
中国での越境ECの法律を理解して、越境ECビジネスのリスクを少しでも減らせるようにしましょう。