越境ECの市場規模は世界的に拡大を続けています。そんな中、これから越境ECへの本格参入を考えている方もいるでしょう。
越境ECは進出する国ごとに特徴が大きく異なるため、各国で重要となるポイントを押さえておくことが大切です。また、商品・サービスの販売を最大化させるためにも、その国を代表する越境ECを知っておく必要があります。
そこで今回は、日本・アメリカ・中国・韓国・台湾を代表する越境ECを紹介します。最後までご覧になれば、各国を代表する越境ECを詳しく理解できた上で、自社のビジネスモデルに合ったECサイトが見つかるはずです。
目次
越境ECの市場規模|日本・アメリカ・中国の成長率
越境ECの市場規模は年々拡大を続けています。特に中国・アメリカの2つは、越境EC市場において売上の大部分を占めています。
以下の成長率をご覧になればわかると思いますが、日本との市場規模の差は一目瞭然です。
2020年時点の購入額と伸び率
国 | 越境EC 購入額 | 伸び率 |
日本 | 3,416億円 | 7.6% |
アメリカ | 1兆7,108億円 | 9.9% |
中国 | 4兆2,617億円 | 16.3% |
アメリカ・中国に比べて成長率は劣っていますが、日本の市場規模が確実に成長していることはわかります。
また、2021年に経済産業省が公表した「電子商取引に関する市場調査」によると、日本国内における「BtoC-EC(消費者向け電子商取引)」の市場規模は、以下のように成長しています。
引用:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました|経済産業省
2019年から2020年にかけてはほぼ横ばいですが、2013年からの市場規模をみると、順調に成長していることがわかります。
なお、世界の越境EC市場が成長している主な理由としては、新型コロナウイルス感染症の影響以外にも、インターネットやスマートフォンの普及だと考えられます。
また、キャッシュレス決済の普及が進んでいるということも、越境EC市場を成長させる1つの要因だと言えるでしょう。
【日本】代表的なECサイト一覧
まずは、日本で代表的なECサイトを3つ紹介します。越境ECの理解を深めるためにも、以下詳細をご確認ください。
楽天
日本におけるEC販売の先駆けとなった「楽天」。日用品から食材まで、多種多様な商品を取り扱っています。
楽天はただ商品を販売するだけでなく、楽天カードや楽天トラベル、楽天モバイルといった、グループ内サービスとの連携を促しています。顧客を楽天グループに囲い込むことで、継続的に商品を販売できるほか、別事業のサービスを訴求することも可能です。
また、ポイントアップのイベント「お買い物マラソン」や、楽天回線とのお得なセット販売など、さまざまな工夫を取り入れています。
Yahoo!ショッピング
「Yahoo!ショッピング」は、誰もが知っている「Yahoo! JAPAN」のショッピングサイトです。販売する商品数が多いのはもちろんのこと、キャッシュレス決済との連携にも注力しています。
例えば、「PayPayを利用すれば10%相当戻ってくる」といったイベントを実施しており、楽天とは異なるユーザー層の囲い込みを狙っています。
そもそも、Yahoo!ショッピングはYahoo! JAPANの中で運用しています。Yahoo! JAPANはWeb検索やニュース、オークション、乗換案内など、人気サイトを多数運用しているため、その中にあるYahoo!ショッピングで出店すれば、圧倒的な集客力に期待が持てるでしょう。
ZOZOTOWN
「ZOZOTOWN」はアパレル専門のECモールです。季節ごとのトレンドや人気ファッションを素早くチェックできるなど、ほかECサイトよりも利便性に力を入れています。
アパレル専門であるのに関わらず、楽天やYahoo!ショッピングと並ぶほどの人気を誇ります。ファッション単独でこれほど人気のECサイトは世界的にも多くありません。日本を代表するECモールだと言えるでしょう。
【アメリカ】代表的な越境EC一覧
日本に続いて、アメリカで代表的な越境ECを3つ紹介します。中国に次いで大きい市場なので、これから越境ECに参入する方は必ずチェックしましょう。
Amazon(アマゾン)
アメリカで売上1位を獲得している「Amazon」は、アメリカだけでなく世界中で人気のECサイトです。全ジャンルを扱う巨大ECサイトであり、商品販売以外にもさまざまなサービスを展開しています。日本でもAmazon(amazon.co.jp)はありますが、アメリカ向けの商品販売を行う上では、アメリカのAmazon(amazon.com)に出店するという選択肢もあります。
アメリカ人の多くはアメリカのAmazonを利用しているため、わざわざ日本のサイトに来る人はそう多くありません。また、日本におけるAmazonの月間ビジターは約8,000万なのに対し、アメリカでは約4.5億の集客力を有しています。その違いは歴然であるため、アメリカ向けの商品販売を考えている場合は、アメリカのAmazonも検討しましょう。
eBay(イーベイ)
「eBay」は世界200か国の人々が訪れる越境ECです。世界最大級のオークションサイトであり、世界30か国に拠点を有しています。
ユニークユーザーはAmazonに匹敵するほど多いため、アメリカ向けの越境ECを考えている人は必ず検討しましょう。
なお、eBayはスモールスタートが可能なので、「海外ビジネスが初めて」「予算をあまりかけられない」という方にもおすすめできます。実際に越境ECを展開してみることで、新たな気付きが得られるはずです。
Walmart(ウォルマート)
「Walmart」は日用品から雑貨、家電製品など、あらゆる商品を扱う越境ECです。元々は実店舗での小売最大手企業であるため、アメリカ各地に実店舗を所有しています。
実店舗に直接足を運ぶ人も多いですが、アメリカは土地が広く移動に時間がかかるため、ECサイトで購入する人も多数存在します。
近年は越境ECに力を入れていることもあり、EC事業での売上が増加傾向にあります。これから越境ECに参入する方にとっては追い風となるでしょう。
【中国】代表的な越境EC一覧
中国で代表的な越境ECを3つ紹介します。越境ECの市場規模は中国が最も大きいため、越境ECで成功を収めたい方にとっては、中国向けの商品販売がキーポイントとなります。
天猫国際(Tmall Global)
中国で代表的な越境ECとしては、「天猫国際」があげられます。本サイトはアリババグループが運営する越境ECで、月間のユーザー数は約7億人にまで及びます。
中国EC市場の27.1%を占める大人気サイトであり、世界中の大企業が出店を積極的に進めています。天猫国際で成功すれば中国のシェアを大きく獲得できるため、中国向けの商品販売を考えている方にとっては、必ず押さえておくべきサイトだと言えるでしょう。
ただし、天猫国際への出店条件は厳しい傾向にあります。出店手数料も比較的に高額なので、予算を考慮した上で利用を検討しましょう。
京東商城(JD worldwide )
「京東商城」は、中国シェア第2位を誇る超大型ECサイトです。家電製品に力を入れていますが、それ以外にも食品や家具といった膨大な商品数を取り揃えています。
京東商城が2020年に発表した「第一四半期決算レポート」によれば、純利益は2,000億元(3兆1,300万円)を超えています。また、アクティブユーザー数は昨年同時期に比べて24.8%増え、2,500万人も増加しました。
また、京東商城は自社で巨大な倉庫を各地で構えているため、よりスピーディな配送を可能にしています。
本サイトは自社で仕入れた商品を販売する直販型のモデルで、日本のAmazonのような販売形式を取っています。自社のビジネスモデルに合っているのかを確認した上で、参入を検討しましょう。
蘇寧易購(Suning)
「蘇寧易購」は、中国のEC市場で第4位のシェアを誇る大型ECサイトです。京東商城と同じく、電化製品を中心に商品を販売しています。
蘇寧易購はECサイトの運営だけでなく、主要都市に多数の実店舗を構えています。オンラインでの販売を開始してからも実店舗運営に注力し続け、顧客が求めるサービスの提供を実現しています。
オンラインとオフラインを連携する「オムニチャネル」の最たる成功事例だと言えるでしょう。
【韓国・台湾】代表的な越境EC一覧
韓国と台湾における代表的な越境ECを1つずつ紹介します。アメリカ・中国以外の越境ECを手掛ける場合は、以下詳細をご確認ください。
【韓国】G-Market(ジーマーケット)
韓国の「G-Market」は、日用品からファッションまで多数の商品を扱っているECサイトです。月間の訪問者数は約2,200万人であるため、うまく活用すれば売上を大きく伸ばすことができるでしょう。
ただし、G-Marketは日本語に対応していないため、英語・韓国語の理解が求められます。翻訳に自信がない場合は、越境ECの運営代行を検討してみてください。
【台湾】Yahoo!奇摩購物中心
台湾の「Yahoo!奇摩購物中心」は、日本で展開するYahoo! JAPANの台湾版です。日本製品を好むユーザーが多いため、越境ECとの相性が良いとされています。
ユニークユーザーは「CtoC 月間1,000万」、「BtoC 月間800万」、「BtoBtoC 月間700万」であり、売上を確保するには十分すぎるほどです。
なお、販売商品は化粧品やファッション関係が多いため、男性よりも女性ユーザーのほうが多い傾向にあります。
まとめ
本記事では、日本・アメリカ・中国・韓国・台湾を代表する越境ECをそれぞれ解説しました。
国 | 代表的なECサイト |
日本 | ・楽天 ・Yahoo!ショッピング ・ZOZOTOWN |
アメリカ | ・Amazon(アマゾン) ・eBay(イーベイ) ・Walmart(ウォルマート) |
中国 | ・天猫国際(Tmall Global) ・京東商城(JD worldwide ) ・蘇寧易購(Suning) |
韓国 | G-Market(ジーマーケット) |
台湾 | Yahoo!奇摩購物中心 |
越境ECは世界中で盛り上がりをみせていますが、アメリカと中国は市場規模が大きいため、売上を伸ばすためには特に重要となります。
また、国ごとに利用するユーザーや好みの商品が異なるため、進出する国・ECサイトに合わせて商品展開を考えましょう。
これから越境ECに参入する予定の方は、ぜひ本記事で紹介した代表的なECサイトを参考にし、自社のビジネスモデルに合ったECを見つけてみてください。