みなさんは、台湾で越境ECを始めようと思ったことはありますか?
台湾で越境ECを始めようと考えている方の中には「台湾で越境ECを始めたいけど、関税っていくらくらいかかるの?」「越境ECの関税について全然わからない」など、関税についてわからなくてつまずいてしまうという方が多く見受けられます。
他のアジアの国に比べて比較的裕福な暮らしをしているという点や、なんといっても親日家が多いことで知られる台湾では、お隣の中国と同様に越境ECの市場規模が拡大していっています。
このような背景から、日本から台湾へ向けて、越境ECを利用してビジネスを始めるという方が増えてきているのですが、上記でも申し上げた通り、関税についてしっかりと対策をしておかなければ、後々大きなトラブルを招いてしまったり、ビジネスが上手くいかなくなってしまったりという結果を引き起こしてしまいます。
そこで今回は、台湾で越境ECを始めようと考えている方向けに、台湾で越境ECを行う際の関税のルールについてや、関税のトラブルを回避する方法について詳しくご紹介していきます。
目次
そもそも関税とは?
台湾の越境ECの関税のルールについて詳しくご紹介していく前に、まずはそもそも関税とは何なのか、についてご紹介していきます。
関税の意味
まずはじめに、関税の意味についてご紹介していきます。
関税とは『輸入品に対して課される税金』という意味があります。販売する商品が国境を超える際にかかる税金で、税関で徴収されます。
つまり、日本から外国へ荷物や商品を運ぶ際、国境を越える際にはほとんどの場合で税金がかかってしまうということになります。一定の条件を満たした場合は関税がかからない時もあり、よく耳にする『免税』と言われているのがこれにあたります。
関税に関する税率は一定ではなく、輸出する国や商品、時期によって変動します。同じ物であっても、量や重さ、時期によって関税は変わります。
関税の目的
関税の意味がわかったところで、次に関税の目的についてご紹介していきます。
関税の目的は、大きく分けて「税収」と「国内産業の保護」の2つあります。
まずひとつめは『税収』です。
税収とは国の収入となるお金のことで、具体的には道路や水道など人々が日常的に利用している公共物の建設や修理などに使われます。また、義務教育、警察、消防、医療などの公共サービスにもこの税収が使われます。
そしてふたつめは『国内産業の保護』です。
税収は比較的イメージがしやすいかと思いますが、国内産業の保護と聞いても、ピンと来ませんよね。他国の製品の仕入れ値が安すぎてしまうと、そのせいで日本の同じ製品の価値が下がってしまい、やがて衰退してしまいます。
具体的でわかりやすい例えとして『牛肉』が挙げられます。日本で育てられた松阪牛や米沢牛などの高級ブランド和牛は、鮮度も抜群で味も良く、日本人が大好きな牛肉ですが、価格が高いため日常的にブランド和牛を食べられるわけではありません。
対して、アメリカ産の牛肉は日本のブランド和牛に比べて値段が安く、味も良いためレストランなどでよく使われています。しかし、アメリカ産の牛肉ばかりが日本で流通していたら、日本のブランド和牛が食べられる機会は失われていき、最終的には需要がなくなってしまうという危険性があります。
日本が誇る大事な産業を衰退させないため、アメリカ産の牛肉もある程度の価格を保たなくてはならず、そのために関税が存在しています。
牛肉に関わらず、輸入される商品には価値があり、季節などによって値段が変わります。それに合わせて関税も変える必要があるため、関税は一律ではなく変動性となっているのです。
このように、関税には大事な目的があり、それを理由に税率が変動しています。
台湾での関税のルール
次に、台湾で越境ECを行う際の関税に関するルールなどについてご紹介していきます。各国でルールが異なる関税ですが、台湾ではいったいどのようなルールが設けられているのでしょうか。
台湾で越境ECを始めようと考えている方は、ぜひチェックしてみてください。
基本的には貨物の値段で決まる
まずは台湾の輸入品に関する関税の基本的なルールからご紹介していきます。
台湾では、輸入品に対して2,000元以下の輸入貨物に関しては、関税が免除されます。
しかし、2,000元以下なら全て免税というわけではなく『6ヶ月で6回』まで関税が免除されるという仕組みになっており、6ヶ月で7回目の2,000元以上の輸入品の購入に対しては関税が課されます。
2017年までの台湾では、3,000元以下までの輸入貨物に対して関税が免除されていましたが、2018年のルール改正により、少し厳しめのルールに変更されました。
ちなみに、2022年3月時点では台湾の2,000元は日本円に換算すると約8,500円となっています。
過去に台湾に2,000〜3,000元の輸出を行った経験があり、今回も大丈夫だろうと考えていた方は、特に注意が必要です。
台湾関税の必須アプリ『EZ WAY 易利委』
台湾の関税に関する基本的なルールについて、2,000元以下であれば関税が免除されるということをご紹介しました。しかし、台湾で越境ECを行うなら、この基本的なルール以外にも知っておかなければいけないものがあります。それは『EZ WAY 易利委』についでです。
以下では、台湾関税の必須アプリ『EZ WAY 易利委』について詳しくご紹介していきます。
台湾政府が管理しているアプリ
EZ WAY 易利委とは、輸入品の配送や関税の金額を決めるため、台湾政府が管理しているアプリのことを言います。
EZ WAY 易利委に名前や電話番号、個人番号などの個人情報を入力しておくことで、海外からの輸入貨物購入した人と結びつけ、適正な関税を支払ってもらうことができます。
EZ WAY 易利委がしっかりと機能することで、うっかり関税を支払い忘れてしまったというトラブルや、意図的に関税を支払わないような不正をする人を減らすことができます。
具体的な使い方としては、まず事前にEZ WAY 易利委に登録しておく必要があります。
越境ECを利用して海外から商品を購入したら、EZ WAY 易利委に購入した物や購入日など、詳細情報を記入します。すると適正な関税が通知されるため、速やかに支払いの手続きを行います。
手続きを行うと配送の手配が行われ、もし支払いが遅れてしまうと商品が届かなくなってしまう可能性があります。
2022年7月からの新ルール
上記がEZ WAY 易利委の大まかな概要であり、売り手側も買い手側も少々面倒な部分がありますが、国のルールのため仕方がありません。しかし、その面倒臭さに追い討ちをかけるように、新たなルールが新設されました。
それは『海外から貨物を購入した際、EZ WAY 易利委に登録をしなければ貨物を受け取ることができない』というものです。
これは、2022年7月から適用される新たなルールで、貨物の購入から7日以内に申請を行わなければ、商品は強制的に販売元へ返却されてしまいます。
ただでさえ海外からの購入で値段が高くなってしまうのに、それに加えて申請も速やかに行わなければいけないというのは、購入者からするととても手間に感じてしまうでしょう。
これから台湾で越境ECを始めようと考えている方は、この新たなルールに十分注意しましょう。
関税のトラブルを回避するには?
上記では、台湾で越境ECを行う際の関税に関するルールについてご紹介しました。
台湾の関税に関するルールを知ると、台湾で越境ECを行うのは難しいのではないか、と考えてしまう方もいらっしゃいます。しかし、親日家も多く、日本との関係が良好な台湾の方々は、日本製の高品質な商品を求めています。
次にご紹介するのは、台湾の越境ECを行う上で、関税のトラブルを回避する方法についてです。関税のトラブルを回避して、円滑に台湾で越境ECを行なっていきたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
商品の値段を下げる・低価格の商品を販売する
関税のトラブルを回避する方法としてまず挙げられるのが、商品の値段を下げる・低価格の商品を販売するという方法です。
まず第一として、2,000元以下の商品に関しては免税されるという特徴を活かし、販売価格をそれに合わせて下げるという方法です。
また、はじめから2,000元以下の商品を販売する戦略を立てるという方法も効果的です。日本円にして約8,500円になるため、家電などの電化製品の販売は難しいでしょう。
比較的海外の顧客に人気の日用品やベビー用品、食品などであれば2,000元以内におさめることことも十分に可能です。関税のトラブルを回避したいという方は、商品自体の値段を工夫してみてはいかがでしょうか。
アプリの登録を事前に促す
関税のトラブルを回避する方法として次に挙げられるのが、アプリの登録を事前に促すという方法です。EZ WAY 易利委から申請を行わなければ、顧客は商品を受け取ることができず、購入したにも関わらず申請を行わないと、商品の返却をしなくてはなりません。
そうなると、販売者側が送料を負担しなくてはならないため、販売者側にとっても大きな打撃となってしまいます。
そのため、商品の購入直前までに、または購入と同じタイミングでEZ WAY 易利委のアプリの取得、登録を促すことで、顧客に問題なく商品を届けることが可能です。
関税のトラブルを回避したいと考えている方は、EZ WAY 易利委のアプリの取得、登録を事前に促すことをおすすめします。
まとめ
台湾で越境ECを行う際の関税のルールについてや、関税のトラブルを回避する方法について詳しくご紹介しましたが、参考になりましたか?
台湾では他の国に比べて少し厳しめな関税のルールが設けられていますが、仕組みを理解し対策を行えば、全く問題はありません。
これから台湾で越境ECを始めようと考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。