医薬品を海外へ!第一三共ヘルスケアの越境ECの仕組みを徹底解説

Pharmacist holding pill bottle

みなさんは、OTC医薬品という言葉を聞いたことがありますか?いま、海外では日本製のOTC医薬品がとても人気になっています。インターネットを通じて海外へ日本の商品を販売する『越境EC』ですが、数年前からその需要は高まり、今では世界各国で越境ECの市場規模が高くなっています。

中でも、日本製の商品『MADE IN JAPAN』は、高品質で安心安全ということもあり、海外の顧客からとても人気で、中国やアメリカを中心に日本製の商品が飛ぶように売れています。

今までは食料品や日用品、アパレル用品などの商品が中心となり取引されていたのですが、最近では『OTC医薬品』というジャンルの商品が海外へ向けて販売され始めています。

医薬品の海外販売で注目を浴びる第一三共ヘルスケア

Green capsules in front of orange pharmacy bottles

医薬品会社として国内でも有名な『第一三共ヘルスケア株式会社』は、OTC医薬品を海外へ販売している日本企業として注目を浴びています。

医薬品を海外へ販売するとなると、いくつかの認証を受けなければいけないという点や、時間やコストがかかってしまう点など、販売に対するハードルがたくさんありとても難しいと言われていましたが、なぜここ最近で医薬品の販売が可能となったのでしょうか?

そこで今回は、海外へ向けて越境ECを通じてOTC医薬品の販売を行っている会社である第一三共ヘルスケア株式会社が、どのような仕組みで越境ECを行なっているのか、どのような商品を越境ECを通じて販売しているのかなどについて詳しくご紹介していきます。

第一三共ヘルスケアの運営会社情報

Medicine pills on blue background

第一三共ヘルスケアの越境ECの仕組みについてご紹介していく前に、まずは第一三共ヘルスケアの運営会社情報をご紹介していきます。

会社名 第一三共ヘルスケア株式会社
所在地 東京都中央区日本橋3-14-10
設立年月日 2005年12月16日
代表者名 吉田勝彦
資本金 1億円
売上高 672億円
事業内容 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、食品、飲料水等の製造および販売

第一三共ヘルスケアといえば『ロキソニンSプレミアム』や『ルル』『ガスター10』など、知名度が高い商を販売している会社です。

資本金1億円、売上高672億円と、製薬会社の中でもトップクラスの資金力を持っている第一三共ヘルスケアですが、上記のような医薬品の販売以外にも、化粧品や食品などの販売、医療機器などの製造や販売も行っており、事業内容は多岐にわたります。

多くの女性芸能人をイメージキャラクターとして起用し、テレビや雑誌などのメディアへの露出も多く、日本国内では知名度の高い第一三共ヘルスケアですが、いったいどのような仕組みで越境ECを行なっているのでしょうか。

以下では、第一三共ヘルスケアが行なっている越境ECの仕組みについてご紹介していきます。

第一三共ヘルスケアの越境ECの仕組み

Senior woman using mobile phone, ordering medicine pills online at home

第一三共ヘルスケアの運営会社情報についてご紹介しましたが、次に、第一三共ヘルスケアの越境ECの仕組みについてご紹介していきます。

中国に拠点を置いている

第一三共ヘルスケアは、2020年8月にアリババグループのECプラットフォームである『Tモールグローバル』に、第一三共海外旗艦店をオープンしました。第一三共グループが海外出店をするのは、ボディケア用品のブランドのミノンの海外旗艦店、オーラルケア用品を提供している第一三共海外旗艦店に次いで3店舗目となっています。

いまや世界中で市場規模を拡大させている越境ECですが、中でも中国の越境ECは活発な動きを見せており、世界でもダントツの市場規模を誇っています。

そんな中国国内でトップのシェア率を誇り、国内シェア率が60%を超えているのが今回の『Tモールグローバル』となっていて、高い集客力が見込めます。

アリババグループによって運営されている『Tモールグローバル』は、偽物が流通しておらず、常に高品質の日本製の商品が買えると人気のECモールで、医薬品以外でも多くの日本企業が出店しています。

しかし、そもそも医薬品会社の海外出店は、上記でもご紹介した通りいくつかの認証を受けなければいけないという点や、時間と費用がかかってしまう点もあり、とても難しいと言われており、今までは敬遠されてきていました。

そこで登場したのが今回ご紹介する『越境EC』を利用するという方法です。

越境ECの中でも『保税区モデル』という手法を取り入れた第一三共ヘルスケアの販売方法は、これまで問題視されていた時間とコストの問題を解決し、認証の手続きも以前に比べて簡略化されたため、少ないリスクで海外へ販売することを可能としています。

『保税区モデル』とは?

第一三共ヘルスケアは、認証や時間、コストなどの医療費を海外へ向けて販売する際の問題を越境ECの『保税区モデル』という仕組みを取り入れることによって改善しました。

通常、日本の商品を中国へ販売する際、当たり前ですが日本から中国へ商品を輸送し、それにかかる費用を負担しなければなりませんし、国境を越える際には関税が発生します。また、販売するにあたって安全性や実用性などの厳重なチェックが行われ、承認がおりてはじめて商品を販売することができます。

一方で、保税区モデルを利用した越境ECでは、中国国内の保税区という区域内に倉庫を設置し、そこへ日本から輸送した商品を保管します。ECサイトで注文が入り次第、日本からではなく、その保税区内の倉庫から発送をするという流れになっています。

保税区では、中国国内でありながら、その時点ではまだ関税などの税金が課税されていない状態で商品を保管することができ、一括輸送をして保管をしておくことが可能なため、輸出コストが削減できるほか、注文が入ってから顧客にお届けするまでの期間も短縮できるというメリットがあります。

また、第一三共ヘルスケアでは、中国人の社員を積極的に採用し『子どもの頃どのような薬を飲んでいたか』『家庭に常備しておきたい薬はどのような薬なのか』など、常に中国人がどのような商品を求めているのかを研究しながら、販売する商品を決めています。

OTC医薬品とは?

Two pharmacists working in a drugstore.

第一三共ヘルスケアの越境ECの仕組みをご紹介したところで、次にOTC医薬品についてご紹介していきます。

第一三共ヘルスケアでは、越境ECを通じて中国へ『OTC医薬品』というジャンルの商品を販売していますが、OTC医薬品とはいったいどのような商品なのでしょうか。

OTC医薬品の意味

OTC医薬品とは、英語の『over the counter(オーバーザカウンター)』の頭文字を取ったもので、カウンター形式のお店で薬を販売するという意味が込められています。

医薬品には大きく分けて2種類存在しており今回ご紹介するOTC医薬品のほかに、医療用医薬品というものが存在しています。医療用医薬品とは、文字通り医療用に用いられているもので、主に医師が処方している医薬品のことを指します。

医師が処方している薬以外の薬、つまり薬局やドラッグストア、コンビニなどで購入できる医薬品のことをOTC医薬品と呼びます。

OTC医薬品は、数年前までは『市販薬』『常備薬』と呼ばれていましたが、今ではOTC医薬品という名称に変更され、徐々に呼び名が浸透しています。

第一三共ヘルスケアで販売されているOTC医薬品

 

medicine

最後に、日本国内のみならず、中国でも人気となっている第一三共ヘルスケアで販売されているOTC医薬品についてご紹介していきます。これから中国でOTC医薬品の越境ECを検討しているという方は、ぜひチェックしてみてください。

ルルAゴールドDX

第一三共ヘルスケアで1番有名なOTC医薬品と言っても良いくらい有名なのがこの『ルルAゴールドDX』です。1951年に発売され、国内ではロングセラー商品として人気を集めているルルですが、実は中国でも絶大な人気を誇っています。

さまざまな風邪の症状を緩和してくれるルルのような『家庭の常備薬』は、世界のどこでも人気の商品となっています。

ガスター10

第一三共ヘルスケアが販売しているOTC医薬品として、ルルの次に有名な商品がこの『ガスター10』です。

胃酸の分泌をコントロールしてくれるガスター10は、胃痛、胸焼け、胃のむかつきに効果的で、脂っこい食事を好む方や、アルコールを飲む方に人気の商品です。

トランシーノ

第一三共ヘルスケアが販売しているOTC医薬品に『トランシーノ』という商品があります。トランシーノは、体の内外から皮膚のシミをケアするための医薬品で、内服薬と化粧品など、数種類のラインナップがある女性に人気の商品です。

日本と同様、中国人の女性は美容に熱心で、日本製の美容グッズを好んで購入する傾向があります。

まとめ

第一三共ヘルスケアの越境ECの仕組みや、OTC医薬品について詳しくご紹介しました。

今まで難しいとされていた医薬品の販売を、越境ECの保税区モデルという仕組みを取り入れたことによって可能になった第一三共ヘルスケアは、医薬品の海外販売のパイオニア的な存在です。

現地のリサーチなども引き続き行なっており、第一三共ヘルスケアの越境ECの今後にも目が離せません。

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