中国では越境ECの市場が大きいため、利益を出すために中国で越境ECのビジネスを展開してる方が多いです。しかし、中国は越境ECに関するさまざまな法律や税金が存在します。その税金の中でも、日本の消費税に代わる増値税という税金が存在します。
ここでは、中国の増値税について解説していき、越境ECを利用する際の注意点と中国の増値税以外の税金について述べていきます。
目次
中国の増値税とは?
中国には、日本の消費税に代わる増値税という税金が存在します。
では、中国の増値税とは具体的にどのようなものなのでしょうか?増値税とは、モノやサービスの取引の際に発生する税金のことを指します。
モノとは、服や食品などの商品全般のことです。また、サービスとは、交通運輸や郵便・ホテル・レストランなどの接客のことをいいます。
中国の増値税の注意点
増値税は、中国でビジネスを展開する上で関わりが深い存在です。そのため、中国の増値税の注意点を理解しておく必要があります。
中国の増値税の注意点は、主に5つあります。
- 課税対象によって税率が異なる
- モノ・サービスを取引する際に発票する
- 法律を頻繁にチェック
- 保税区モデルについて理解する
- 書類の提出を怠らない
ここからは、上記の注意点について詳しく解説していきます。
課税対象によって税率が異なる
中国の増値税は、日本の消費税と似ています。しかし、日本の消費税が一律で10%であるのに対して、中国の増値税は課税対象によって税率が異なります。
そのため、中国でビジネスを展開する際にはそれぞれの税率を理解しておく必要があります。
モノに対する税率は主に16%です。対して、サービスに対する税率は主に6%です。中国でビジネスを展開する予定の方は覚えておきましょう。
モノ・サービスを取引する際に発票する
中国でお金が発生する取引を行う場合には、「発票」をする必要があります。発票は、日本の領収書の発行と似ています。しかし、日本の領収書を発行する際と違い、中国で発票の業務を行う場合は記載内容が多いという特徴があります。
例えば、中国で発票の業務を行う場合は下記の内容を記載する必要があります。
- 本体価格
- 増値税の額
- 供給先の情報
- 商品名
- 数量
上記の内容を記載しなければ、発票の業務をしたことが認められません。そのため、記載する内容を事前に法律で確認するようにしましょう。
では、なぜ発票の業務をする必要があるのでしょうか?それは、発票をしなければ、商品の仕入税額控除の制度を利用することができなくなるからです。仕入税額控除とは、商品・サービスを提供する上での仕入れにかかった税金を差し引いた増値税の金額のことを指します。
そのため、仕入税額控除の制度を利用することによって企業にとって大きな利益になります。
法律を頻繁にチェック
中国での越境ECの市場は非常に大きいです。そのため、中国政府も頻繁に越境ECに関する法律を制定・改定しています。
頻繁に確認をするべき法律は下記のようになってます。
- 電子商取引法
- インターネット取引管理弁法
- インターネット情報サービス管理弁法
特に、電子商取引法(中華人民共和国電子商務法)は2019年の1月1日から実施された新しい法律です。
電子商取引法は、中国の越境ECの総合的な法律です。そのため、電子商取引法の理解なくしては、中国で越境ECのビジネスを展開をすることは不可能であるといえるでしょう。
また、電子商取引法は中国の越境ECの消費者を「保護」する法律でもあります。中国の消費者との対立を防ぐ意味でも電子商取引法は理解しておく必要があります。
営業モデルの知識を身に付ける
越境ECのビジネスを展開する際には、税金が多くかかってきます。しかし、中国には関税等が輸入時に課税されない「保税区モデル」という営業形態が存在することをご存じでしょうか?
保税区モデルとは、中国国内の保税区にて商品を保管し、保税区から商品を直接発送する営業形態のことを指します。
保税区のメリットとして下記のことが挙げられます。
- 注文から商品の発送までの時間を短縮できる
- 日本から商品を一括で輸送することによってコストを削減できる
しかし、保税区モデルのデメリットとして、中国での倉庫の維持費が必要になるということが挙げられます。つまり、保税区モデルの初期費用は大きいということになります。
初期費用が大きいため、資金源がある日本の大手企業が多く採用している方法です。
対して、中国国内に倉庫を持たない「直送モデル」という営業形態も存在します。直送モデルは日本から直接商品を発送する営業形態であるため、輸送のコストが大きくなってしまいます。
したがって、小規模の越境ECのビジネスを展開している企業に向いている営業形態です。
書類の提出を怠らない
中国で越境ECのビジネスを展開する上で、書類の提出を求められる機会が増えます。書類の提出を怠ると、税金控除の制度を利用することができなかったり、中国の越境ECプラットフォームを利用することができなくなります。
また、税関で必要な書類の提出をしないと、商品が消費者の手元に届くことはありません。商品が消費者の手元に届かないと企業の信頼を失ってしまいます。
加えて、書類に署名する際には書類の内容を確認してから署名するようにしましょう。なぜなら、書類に署名をするということは書類の内容に同意したということになるからです。
書類の管理は、どのビジネスにおいても重要な業務です。特に、越境ECのビジネスは国境を越えるビジネス形態です。1つの書類の不備が大きな問題に発展することもあるので、厳重に書類の管理をしましょう。
増値税以外で越境ECでの関連性が高い税金
中国の越境ECでは、増値税以外にもさまざまな税金が関わってきます。そのため、中国で越境ECのビジネスを展開する方は、税金の知識を身に付けておく必要があります。
中国の越境ECビジネスと関連の高い税金は、主に3つあります。
- 行郵税
- 電商総合税
- 関税
ここからは、上記の税金について詳しく解説していきます。
行郵税
行郵税とは、個人向けに商品を郵送などの方法で輸入した際に発生する税金のことを指します。行郵税の金額が50元以下の場合は、免税の対象になります。
また、行郵税の税率は商品によって異なります。例えば、書籍や食料品に対する行郵税の税率は13%です。そして、たばこや酒などの商品には行郵税の税率は50%になります。
行郵税の税率は商品によって大きく異なります。自身が主に販売する商品の税率を事前に調べてからビジネスを展開しましょう。
電商総合税
電商総合税は、中国で越境ECビジネスを展開している方に課せられる税金のことを指します。電商総合税を支払うことによって、他の増値税や関税などの税金の支払いを減額・免除してもらうことができます。
しかし、電商総合税が適用されるには、さまざまな条件があるので中国でビジネスを始める前に電商総合税が適用対象に該当するか確認しましょう。
関税
関税とは、中国政府が商品の輸入の際に課す税金のことを指します。関税は、自国の商品を守るために課す税金です。そのため、同じ商品でも国によって税率は大きく異なります。
中国には、主に3つの関税が存在します。
- 従価税
- 従量税
- 複合税
ここからは、それぞれの税金について紹介していきます。
従価税
従価税とは商品の価格に対して関税をかける税のことを指します。例えば、商品の価格が1000円で関税が10%だった場合の関税は100円になります。
従量税
従量税とは商品の重さや面積に対して関税をかける税金のことを指します。従量税は主に、お酒などの商品に適用されます。
複合税
複合税とは従量税と従価税のいずれか高い方を関税として適用する関税のことを指します。特に、絹や羊毛などの商品に複合税は適用されます。
まとめ
ここまで、中国の増値税の概要と中国で越境ECのビジネスを展開する上での注意点・増値税以外の重要な税金などについて詳しく解説してきました。
中国の増値税は、日本の消費税と似ているので理解することは簡単です。しかし、中国でビジネスを展開する場合には、増値税を理解した上で増値税の支払いをする必要があります。そのため、増値税の支払いは怠らないようにしましょう。
また、中国で越境ECのビジネスを展開する場合には、さまざまな税金のことについても理解する必要があります。特に、電子商総合税は越境ECのビジネスを展開する上で最も重要な税金となっていますので基本的な知識を身に付けておくようにしましょう。