中国向けのWEBサイト制作をする際の5つの重要なポイントを紹介します。他の言語に比べて中国だけは、特別な対応が必要になります。
中国は急速にデジタル化が進む巨大な市場であり、中国向けにウェブサイトを持つことは、多くの企業にとって大きなチャンスです。
中国は世界最大のインターネットユーザー数を有する国であり、その規模は10億人を超えています。中国向けにウェブサイトを制作することで、これらの広大なユーザーに直接アプローチすることができます。
中国向けのウェブサイトを持つことで、ブランドの認知度を向上させ、新しい顧客を獲得でき、すべての日本企業が中国市場に進出しているわけではありません。そのため、中国向けのウェブサイトを制作することで、競合他社に先駆けて市場に進出し、競争優位性を確保することが可能になります。
しかし、わかってはいても中国市場向けのウェブサイト制作は難しい部分があります。
目次
中国向けのウェブサイト制作の5つのポイントを紹介
検閲とグレートファイヤーウォール問題
中国のインターネットはグレートファイヤーウォール(GFW)によって規制されています。GFWは中国政府が特定の外国ウェブサイトへのアクセスを制限するシステムで、一部のソーシャルメディア、ニュース、情報源はブロックされています。中国では、Googleが使えないのはこれが理由です。
これを考慮に入れて、ウェブサイトのホスティングとドメイン名の選択が重要となります。
そのためには、中国にサーバーを置く必要があります。
中国にサーバーを置く必要性
中国のインターネット規制(通称:グレートファイヤーウォール)は、中国本土からの海外サーバーへのアクセスを制限するため、ウェブサイトのパフォーマンスとアクセシビリティに大きな影響を及ぼします。
そのため、中国向けのウェブサイトは、できるだけ中国本土または中国に近い場所にサーバーを設置することが推奨されます。
中国向けの言語のサブドメインをDNSで設定
その場合は、中国向けの言語のサブドメインを作り、ネームサーバーではなくDNSで設定をします。そうすれば、1つのドメインでも、サブドメイン毎にサーバーを分けて使用することができて日本のサーバーをメインで使い、中国語だけは中国のサーバーを使うことが可能です。
ICPの登録、ICPライセンスの取得
中国本土でウェブサイトを公開するためには、ICP(Internet Content Provider)ライセンスが必要です。これは中国政府が発行するもので、申請には手間と時間がかかりますが、代行業者が複数存在しています。
ICP(Internet Content Provider)ライセンスは、中国政府が発行する許可証で、中国本土でのウェブサイト運営を可能にします。中国のサーバーを使用して商業ウェブサイトを運営するためには、このICPライセンスが必要です。
ICPライセンスは2種類あります
ICP登録証(ICP Filing)
非商用ウェブサイト(情報共有、コンテンツ公開など)のためのものです。基本的には、ウェブサイトが商品やサービスを直接販売しない場合に適用されます。
ICPライセンス(ICP Licensing)
商用ウェブサイト(eコマース、広告、有料コンテンツなど)を運営するためのものです。ウェブサイトがオンラインで直接商品やサービスを販売する場合、またはオンライン決済を扱う場合に必要となります。
ICPライセンスの取得の手順
- 中国国内のサーバーを取得します。
ICPライセンスを申請するには、まず中国国内のホスティングサービスを契約する必要があります。 - 企業情報を登録します。
中国国内に登録された企業であることを証明する必要があります。そのために、企業登録証明書、組織構造コード証明書、企業法人の個人IDなどが必要となります。 - ICPライセンスの申請をします。
上記の手順が完了したら、中国の通信管理局にICPライセンスの申請をします。申請の審査には数週間から数ヶ月かかることがあります。 - ICPライセンス番号の表示をする。
ライセンスが発行されたら、ウェブサイトのフッターなどにICPライセンス番号を表示する必要があります。
時間がかかりますが、中国でウェブサイトを運営するためには不可欠な手順です。そのため、中国市場に進出する計画がある会社は、この時間も予定に入れてを早めに準備していきましょう。
ローカライゼーション
中国市場に適応するためには、単にウェブサイトの言語を中国語に翻訳するだけでは不十分で、言語、文化、ユーザーの行動傾向、規制など、多くの要素を考慮したローカライゼーションが必要です。
中国の文化や社会的な習慣を理解し、それに基づいてコンテンツを適応させることが重要です。例えば、デザインでは、色彩の選択、イメージ、日付表記、度量衡、通貨などは、中国の文化や規範に合わせて調整する必要があります。
中国には様々な方言が存在しますが、ウェブサイトでは主に簡体字中国語を使用します。ただし、台湾や香港などの地域を対象とする場合は、繁体字中国語を使用することを検討する必要があります。
そして、自動翻訳ツールを用いるのではなく、専門知識を持つプロの翻訳者に依頼することが重要です。これは、特定の業界用語や言い回しを適切に理解し、文化的なニュアンスを考慮に入れた翻訳が必要です。もしくは、翻訳した内容をネイティブにチェックしてもらうのも方法です。
SEOと検索エンジン
中国におけるウェブサイトのSEO対策は、主にBaidu(百度)という検索エンジンに対する最適化を意味します。Baiduは中国で最も人気のある検索エンジンであり、そのアルゴリズムはGoogleとは多少異なります。
BaiduのSEO対策の主なポイントをいくつか紹介します。
- ローカルホスティングとICPライセンスを取得します。
Baiduは中国国内のサーバーにホストされ、ICPライセンスを取得しているウェブサイトを優遇します。中国市場への本格的なアプローチを考えているのであれば、ローカルホスティングとICPライセンスの取得は不可欠です。
2.簡体字中国語の使用します。
Baiduは簡体字中国語を優先します。そのため、ウェブサイトのコンテンツは簡体字中国語で作成すべきです。
3.メタタグとキーワードを設定
日本語サイトも同様ですが、中国語でも、タイトルタグ、メタディスクリプション、H1タグなどは、適切なキーワードを含め、SEOに最適化する必要があります。また、Baiduはキーワード密度を重視しているとされていますので、適切なバランスを保つことが重要です。
SEOスパムにならないようにキーワード出現率にも気をつけてください。
4.Baiduはシンプルで整理されたサイト構造
ユーザーが簡単に情報を見つけられるようにすることが重要です。
5.高品質な被リンク
Baiduは信頼できる、高品質なサイトからのバックリンクを高く評価します。ただし、スパムリンクや不適切なリンクビルディング手法は厳しく罰せられます。(Googleも同様です。被リンク確保は自社では難しいためコンテンツを発信していく必要があります)
6.Baiduはローカルのソーシャルメディアプラットフォームからのシェア
例えばWeibo(微博)やWeChat(微信)などからのプラットフォームからのシェア等も大切です。
7.中国のインターネットユーザーの大部分はモバイルデバイスを使用しているため、モバイルフレンドリーなウェブサイト設計は必須です。Baiduもモバイル最適化を重視しています。
モバイルファースト
中国のインターネットユーザーの大部分は、モバイルデバイスを通じてウェブを閲覧します。これは、中国の多くのユーザーがスマートフォンを主要なインターネット接続デバイスとして使用しているためです。加えて、中国の日常生活では、WeChat(微信)やAlipay(支付宝)などのモバイルアプリが広く利用されており、これらのアプリ内ブラウザからウェブサイトにアクセスするケースが多いです。
したがって、中国向けウェブサイトはモバイルファーストの設計が不可欠です。これは、ウェブサイトがモバイルデバイスでの使用を主に考慮して設計され、パソコンでの閲覧はその次に考えられるというアプローチを指します。モバイルファーストのデザインは、ウェブサイトのロード時間の短縮、ユーザビリティの向上、そして中国の主要な検索エンジンであるBaidu(百度)の検索結果のランキング向上に寄与します。したがって、中国市場に対するウェブサイトの有効性を最大化するためには、モバイルファーストの設計は絶対に無視できない要素です。
中国のソーシャルメディアの活用
中国では、ソーシャルメディアはユーザーとのコミュニケーションを促進し、ブランド認知度を高め、ウェブサイトへのトラフィックを増加させる強力なツールとなっています。そのため、ウェブサイト制作と並行してソーシャルメディアの活用を考えることが重要です。
中国のソーシャルメディアの使用率は非常に高く、特にWeChat(微信)とWeibo(微博)が主流です。これらのプラットフォームを利用すれば、大規模なオーディエンスにアクセスすることが可能です。
WeChatはメッセージングアプリケーションでありながら、ソーシャルネットワーキング、ニュース、ショッピング、決済など、多岐にわたる機能を提供しています。企業はWeChat公式アカウントを作成し、記事を投稿したり、ユーザーと直接対話したり、オンラインストアを運営したりすることができます。また、WeChat内でウェブサイトへのリンクを共有することで、ウェブサイトへのトラフィックを増加させることが可能です。
一方、WeiboはTwitterに似たプラットフォームで、ユーザーは短いメッセージを投稿したり、画像や動画を共有したりすることができます。Weiboは情報の拡散速度が速く、ウェブサイトやブランドの認知度を迅速に広げることが可能です。
ソーシャルメディアの活用は、中国でのSEO(検索エンジン最適化)にも寄与します。Baiduはソーシャルメディアからの信頼性のあるリンクを高く評価し、これによってウェブサイトの検索結果のランキングが向上する可能性があります。
また、ソーシャルメディアはリアルタイムのフィードバックや消費者の意見を得るための有効な手段でもあります。これにより、ユーザーのニーズや嗜好を理解し、ウェブサイトの改善や新たなマーケティング戦略の策定に役立てることができます。
以上のように、中国向けのウェブサイト制作は、他の言語と比べて独自のルールが存在しています。
そして中国のデジタルマーケットは絶えず進化しているので、それに対応するためには、常に最新の情報をチェックしていく必要がります。