日本で大手通販サイトとして名高い「楽天」という企業は、日本人なら誰しも知っているかと思います。楽天は通販だけではなく、さまざまな分野でビジネス展開しており、最近では、携帯電話の月々の支払価格に革命を起こし、大きく注目を浴びました。
そして、2021年に楽天は中国の越境EC市場に再び進出しました。このニュースは日本で大きく話題になりました。では、なぜ楽天は中国の越境EC市場に再び進出したのでしょうか?
ここでは、楽天が再び中国の越境EC市場に再進出を決めた理由と日本企業が中国市場に参入する際のおすすめのプラットフォーム、越境ECで中国以外に進出を推奨する国などについて詳しく解説していきます。
目次
楽天はなぜ再び進出を?
2010年に中国の越境EC市場に進出した楽天は、2012年に中国からの越境EC市場から撤退をしました。しかし、2021年の3月に楽天は「Tencent」の支援を受けて再び市場に参入することを発表しました。
では、なぜ、楽天は中国市場に再び参入したのでしょうか?楽天市場が中国の越境EC市場に再び参入した理由は、主に3つあります。
- コロナ禍で越境ECの需要が高まったから
- 日本の商品が大きく注目されているから
- 日本郵政・日本郵便と資本・業務提携したから
ここからは、上記の理由について詳しく解説していきます。
コロナ禍で越境ECの需要が高まったから
現代の大きな社会問題となりつつある新型コロナウイルスによって、越境ECの需要は大きく高まりました。なぜなら、多くの方がステイホームをしていることから通販の重要性が高まったからです。
特に、越境ECは国内にいながらも、海外の商品を取り寄せることのできるサービスです。新型コロナウイルスによるホームステイの影響もあり、越境ECの市場が大きく拡大する結果となりました。
中でも、中国は越境ECの利用者が多く、市場規模は世界一であるといわれています。このことに着目した楽天は再び中国の市場に進出を決めました。
日本の商品が大きく注目されているから
日本の商品は世界でも大きく注目されています。特に、新型コロナウイルスが蔓延する前には、「爆買い中国人」という社会現象が起こるほど、日本の商品は中国で人気がありました。
なぜ、日本の商品は世界でも評価が高いといわれているのでしょうか?下記は、日本の商品が世界でも大きく注目されている理由です。
- 商品の質が高い
- アイデアが面白い
- 値段が比較的安い
- 安全性が高い
それぞれの商品が製造会社の厳しい審査基準を通過していることから、日本の商品は高く評価されるようになりました。
また、多くの外国人は自身へのご褒美という意味でも日本の商品を購入しています。楽天が出店しているサイトでは、商品がすべて日本の商品であることを大きく宣伝することによって購入率を向上させています。
日本郵政・日本郵便と資本・業務提携したから
楽天は、中国の越境EC市場に進出することを発表した時と同時期に日本郵政や日本郵便と資本・業務提携をすることを発表しました。
また、アメリカの大手企業のウォルマートから増資の支援を受けました。そのため、楽天は多くの資産を保有した状態になり、中国の越境EC市場にスムーズに再進出をすることができました。
日本企業におすすめのプラットフォーム
楽天と同じように、中国市場に進出を考えている日本企業は多いです。中国にて越境ECのビジネスをしていく上で、プラットフォームを利用するという方法を採用している企業は多いです。
では、日本企業が中国のどのようなECプラットフォームに出店するべきなのでしょうか?日本企業が出店するべきECプラットフォームは、主に5つあります。
- 天猫国際(tmall 国際)
- 京東国際(JD Worldwide)
- 拼多多(pinduoduo)
- 全日空海淘
ここからは、上記のプラットフォームの特徴について詳しく解説していきます。
天猫国際(tmall 国際)
tmallは、中国でECサイトの利用者が一番多いサイトです。アリババが主体となって運営している出店型のサイトです。tmallに出店している日本企業は数多く存在しています。なぜなら、現地法人が不要であり日本にいながらもサイトを運営することができるからです。
しかし、出店をする際の審査基準が厳しいという特徴も持ち合わせています。申請しても審査に通過しない可能性もあるということも視野に入れておきましょう。
京東国際(JD Worldwide)
京東国際(JD Worldwide)は楽天に出資をした企業として、有名なtencentが展開している越境ECプラットフォームです。JD Worldwideは、日本館などのページを設置することによって日本企業の誘致を積極的に行っています。
JD Worldwideは、日本企業の商品を自社で仕入れるスタイルを採用しています。また、このサイトでは、デジタル家電などの商品が多く販売されています。
Wechatは、中国で最大のSNSプラットフォームとして確立しているアプリ。中国版のラインのようなアプリです。
Wechatの内部のミニプログラムを通じて、商品を購入することができます。審査はあるものの、比較的審査には通過しやすいプラットフォームと言われています。
初期費用や運営費も安価に抑えることができるという観点から、これから成長が見込まれているプラットフォームです。
拼多多(pinduoduo)
拼多多は、2015年に開設された越境ECプラットフォームでありながら、2017年には利用者数が3億人を超えた急成長中の越境ECプラットフォームです。拼多多の特徴として、購入者数が多いほど商品の価格が下がるという共同購入型の販売方式を採用しているサイトです。
つまり、高価な商品でも購入者が多い場合は、安価に商品を入手することができるというメリットがあるということです。
全日空海淘
日本企業が運営している中国の越境ECサイトとして全日空海淘が挙げられます。日本から直輸入した商品を消費者に販売するモデルを採用しています。
全日空海淘では、日本ブランドの商品を販売しており、サポート体制が充実しているという特徴が挙げられます。
中国以外で越境ECを検討するべき国
中国で越境ECの市場が拡大していますが、中国以外で越境ECビジネスを展開するとしたらどの国が向いてるでしょうか?今後、進出を検討するべき国は4つあります。
- アメリカ
- シンガポール
- 韓国
- インドネシア
ここからは、上記の国に進出するべき理由について詳しく解説していきます。
アメリカ
アメリカの越境ECの市場規模は中国に次いで、世界で2番目に大きいです。そのため、越境ECに関する法律などが整備されている上に、プラットフォームも充実しています。
また、アメリカの主要言語は英語なので、新しく言語を習得する必要性も少ないです。
シンガポール
現在の主要なIT都市として有名なシンガポールでも越境ECは人気があります。全てのECの購入金額に対する、越境ECの購入額の割合は世界でも2位であり、越境ECが国内で普及しているということがわかります。
また、シンガポールは日本からも距離が近いのでリードタイムが短くなります。そのため、消費者により早く商品を届けることができるというメリットがあります。
韓国
日本国内からも多くの企業が韓国の越境EC市場に参入します。韓国は文化圏が近く、消費者の趣味趣向が似ています。そのため、市場調査が簡単で、多くの利益を見込むことができます。
また、韓国には多くのインフルエンサーがいるので、商品の宣伝を依頼しやすいです。
インドネシア
インドネシアは、近年、最も注目を浴びている市場です。インドネシアでのECの小売総額は、2020年から2021年にかけて約27%成長しています。したがって、インドネシアの越境EC市場の成長率が非常に大きいということがわかります。また、これからもさらなる市場の拡大が予想されています。
しかし、インドネシアは島国であることから、商品が消費者の手元に届くまでのリードタイムが長いという問題が挙げられます。そのため、リードタイムを短くするための工夫が企業には必要であるとされています。
まとめ
ここまで、楽天が中国市場に進出した理由と日本企業におすすめな中国の越境ECプラットフォームについて具体的に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
中国は、世界でも最も越境ECの市場規模が大きい国家ですので、中国に進出することによって大きな収益性が見込まれます。その反面、中国の市場に参入する企業は増え続けていますので競争率が高いという現状があります。
越境ECプラットフォームを利用することによって、他の企業との競争率が下がるということに加えて、軽減税率の対象になるなどの恩恵を受けることができます。しかし、越境ECプラットフォームを利用する場合には、掲載費や初期費用などがかかってくるということも理解しておきましょう。
越境ECプラットフォームを活用して、中国での越境ECビジネスを成功させましょう。